イオンモール熊本で発生した爆発事故をめぐり、イオンとテナント企業の危機管理対応に明暗が分かれた。イオンは社長自らが作業服姿で会見に臨み、誠実な対応を印象づけた一方、従業員が亡くなったテナント企業側は情報公開の遅れや限定的な説明が批判を招いた。
沈黙が生む疑念とデマの拡散
危機時には、情報を出さないこと自体がメッセージになる。沈黙によって疑念が拡大すれば、企業への信頼をさらに失うことになる。今回の事故では、デマが拡散し、無関係のテナント企業が批判を受ける事態も発生。公式な情報発信の必要性が改めて浮き彫りになった。
地震から6日後の8月3日、女性従業員2人が爆発に巻き込まれ死亡した店の運営会社「ハビタ」の湯瀬剛二営業部長が記者会見を開き、地震後に施設内に戻って売上金を金庫に移すよう指示したと明かした。
迅速さと正確さのバランス
ただし、迅速さだけを追求すればよいわけではない。不確かな情報を断定すれば、後に訂正が必要となり、さらに信頼を損なう。「確認できた事実」「確認中の事項」「今後の対応」を分けて、継続的に説明する姿勢が求められる。危機管理広報は、謝罪文を一度発表して終わる作業ではなく、事態が収束するまで更新を続ける必要がある。
最悪に備えることの本質
古代ローマの哲学者セネカの言葉として、「最善を願いながら、最悪に備える」という考え方が知られている。最悪の事態を想定したうえで、過度に悲観的になることなく、平時には冷静に事業を続け、有事にはためらわず行動を切り替えることが重要だ。



