ヨルダン川西岸で17日、イスラエル人入植者が欧州の外交官らの車列を襲撃し、現地を訪れていたフランスの市長に暴行を加えた。目撃者が明らかにした。前日には米国人カメラマンも同様の襲撃を受けており、激しい選挙戦が繰り広げられるイスラエルで、投票日を前に暴力が激化している。
フランス人市長が襲撃される
襲撃されたのは、フランス北部オルノワエムリのベルナール・ボドゥー市長(78)。市長によると、エルサレムに駐在するフランスとベルギーの外交代表やポーランドの外交官らと共に、ヨルダン川西岸でパレスチナ人農家のオリーブの収穫に加わった際、覆面姿の入植者らがフランスを侮辱する言葉を叫び、市長を蹴ったり、鉄の棒で殴ったりした。
ボドゥー市長は襲撃後、AFPに対し、「入植者がこのような行動を取っているのは、イスラエル政府が容認しているからだと思う」と語った。
さらに「世界中の人々が、ここで何が起きているのかを知る必要がある。私は自国に帰れば何の問題もない。最も苦しみ続けるのは、ここにいる人々だ」と述べた。
フランス外相が非難
フランス国旗の3色をあしらったたすきを着用していたボドゥー市長は、襲撃後、車の脇に倒れ込んでいる姿が確認されたが、病院での治療は必要なかった。
フランスのジャンノエル・バロ外相は声明で、イスラエルは「犯罪的な暴力行為を緊急に阻止」し、ボドゥー市長への襲撃に関与した者を逮捕しなければならないと訴えた。ベルギー外相も同様の対応を求めた。
選挙戦のさなか
今回の襲撃は、米紙ワシントン・ポストの米国人カメラマンが入植者らに暴行を受けた翌日に発生した。カメラマンは脊椎を骨折した。
イスラエル外務省は外交官らへの襲撃を非難し、警察は捜査を開始すると表明した。
一方、27日の選挙に向けて、入植活動を強く支持する極右勢力からの支持固めを図るベンヤミン・ネタニヤフ首相は、入植者に対する「中傷」運動が行われていると主張した。
ネタニヤフ氏は、外交官らは移動に際してイスラエル軍と事前に調整すべきだったと述べ、ボドゥー市長がパレスチナの大義を支持することで知られる共産主義者だと主張した。
首相府は声明で、襲撃について「結論を急ぐ前に慎重な判断を求める」と述べた。
選挙でネタニヤフ氏の最大のライバルとなる元軍参謀総長のガディ・アイゼンコット氏は、今回の暴力行為をめぐってネタニヤフ氏を強く批判。
「イスラエル国家にわずかに残された正当性さえも損なっている」と述べ、一連の襲撃については「イスラエル政府の庇護(ひご)の下で行われているユダヤ人によるテロ行為だ」と非難した。
文化的象徴への攻撃
ボドゥー市長によると、キリスト教徒が多く暮らすタイベへの訪問は、友好協定を締結することが目的だった。地元フランスから司祭も同行していた。
市長に対する襲撃は、パレスチナ人との連帯を示す象徴的な行為として、オリーブの収穫に参加した際に起きた。オリーブはパレスチナ人にとって重要な文化的象徴となっている。
イスラエルの過激派は、パレスチナ人が毎年行うオリーブの収穫を阻止するよう呼び掛けており、ここ数か月、入植者による土地や財産の強奪を伴う襲撃が激化している。その一方で、イスラエル人に対する暴力行為も発生しており、先月にはパレスチナ人が入植者1人を射殺した。
タイベの司祭バシャール・ファワドレ氏によると、入植者らは市長に暴行を加える前にも、オリーブの収穫作業を襲撃し、収穫したオリーブを奪っていた。
同司祭はAFPに対し、「1人が頭を殴られ、縫合が必要になった。また、70代の女性にもひどい暴言を浴びせ、暴行を加えた」と説明した。
今月初めには、オリーブの収穫を取り巻く緊張状態を取材していたAFPカメラマン、ジャファー・アシュティエ氏も入植者らに襲撃され、肋骨(ろっこつ)数本を骨折し、カメラを奪われている。