地滑りでブドウ畑全滅かと思ったが実は無事、ハイディワイナリー高作社長が2度の災害振り返る
地滑りでもブドウの実は無事、ハイディワイナリー社長が2度の災害を語る

輪島市のハイディワイナリー社長で醸造家の高作正樹さん(44)が、能登半島地震と9月の豪雨による2度の災害を振り返った。ブドウ畑は地滑りで木が傾くなどの被害が出たが、実は無事で、収穫量は3割減ながらも再建への希望をつないでいる。

地震で約2100本のワインが割れる

高作さんはフランスで醸造を学び、2011年に帰国。東日本大震災の直後だったため、余震の影響を考えて日本海側で土地を探し、輪島市門前町にたどり着いた。ブドウ畑は同市門前町千代と同市門前町鵜山の2か所で計3.2ヘクタール。醸造所に隣接してレストラン兼ワイン販売棟とパン工房兼事務所を建てた。

地震発生時は事務所で一人、棚卸し作業をしていた。横に吹き飛ばされそうな強い揺れが収まり外に出ると、海岸線は約50メートル引いていて、見たことのない景色に呆然とした。レストラン兼ワイン販売棟は全壊、パン工房兼事務所は準半壊、醸造所は一部損壊。約3万本のワインのうち約2100本が割れ、瓶詰め機なども故障し、被害総額は約3億円に上った。

豪雨で収穫時期に道が寸断

9月21日の豪雨では、ブドウの収穫時期と重なり、鵜山のブドウ畑に行く道が土砂で寸断された。ブドウは実と実が密接しているため、雨が続き湿度が高まると病気になる。毎日道路を見に行っては通れない現実に落ち込む日々が2週間続いたという。

ブドウ畑は全面で地滑りが起きて木が傾くなどしていたが、幸い実は無事だった。ボランティアと2週間遅れで収穫し、例年通りの作業を進めることができた。収穫量は3割減となったが、「ブドウさえあればなんとかなる」と原材料を守れたことに安心した。

再建に向けて

高作さんは「考えなければいけないことが山積している時こそ何を守りたいかを考えて、ベストか分からなくても行動し続けたから、一歩ずつ前に進めた」と話す。レストラン兼ワイン販売棟は来年8月頃のオープンを目指して再建中で、「能登の景色を見ながら、地元の食とワインを楽しんでほしい」と語った。