対米配慮の財政金融では早苗ノミクスが危うい ケインズの警句を思い起こすべきだ
対米配慮の財政金融では早苗ノミクスが危うい ケインズの警句

「なんだ、日本の金融政策はワシントンDCが決めるのか」――。9月初めのベセント米財務長官の記者会見での発言「日本はリフレ政策をやめるべきだ」以来、日本の金融・財政政策は非リフレ一色に染まった。対米配慮の財政金融では「早苗ノミクス」が危ういと、本稿では警鐘を鳴らす。

相次いだリフレ否定発言

リフレ(リフレーション)とは通貨の再膨張政策のことを指し、中央銀行の大幅な金融緩和、財政では赤字国債の増発、すなわち大幅な財政支出拡張を意味する。従ってリフレ政策の否定は、利上げ促進と財政引き締めを求める勢力にとっては好都合なフレーズとも言える。

植田和男日銀総裁は9月18日、さっそく利上げに踏み切ったばかりか、記者会見では今後も利上げ加速に前のめりの姿勢を露わにした。さらに、片山さつき財務相は9月25日にはブルームバーグとのインタビューで、高市早苗首相はリフレ派ではないと海外投資家に説明するよう言われているとわざわざ打ち明けた。

政府内でも見解割れる

そして「サナエノミクス」の司令塔、城内実経済財政担当相も同日の記者会見で、日本経済の現状は金融緩和と機動的な財政出動を行うリフレ政策の局面ではないと言明したという。城内氏はかねてより日銀利上げが景気に及ぼす負の影響を懸念していた。

政府の経済財政諮問会議の民間議員で、高市、城内両氏が信頼する民間ブレーンの若田部昌澄元日銀副総裁、第一ライフ資産運用経済研究所の永濱利廣首席エコノミストも城内氏と同じ見解というから、あっけにとられてしまう。

円安阻止の狙いと懸念

ベセント発言は、円安の進行を阻止する狙いが込められているし、トランプ大統領も9月22日の高市首相との会談で円安に懸念を表明した。だが、その最大の理由は円安・ドル高が米製造業を不利にすることや、米国債市場の波乱を招きかねないという懸念によることは明らかだ。

日銀利上げでは円安阻止はできず、対米配慮の政策運営は「早苗ノミクス」の根幹を揺るがしかねない。ケインズの警句を思い起こすべき時だ。