ドイツの極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は10日夜、フリードリヒ・メルツ首相を名誉毀損罪で刑事告訴する方針を明らかにした。メルツ首相が同党について「民族浄化」を推進していると非難したことを受けた措置だ。
AfD議員がXで告訴を表明
AfDのステファン・ブランドナー連邦議会(下院)議員は、X(旧ツイッター)に投稿した動画で、メルツ首相の発言を「糾弾されるべきもの」と批判し、「フリードリヒ・メルツ首相を刑事告訴すると決定した」と述べた。
「リマイグレーション」をめぐる激しい応酬
メルツ首相は9日、連邦議会での討論で、難民認定申請が不認定となった外国人と不法入国した移民の大規模強制送還というAfDの看板政策を、肌の色や生まれに基づく「民族浄化」の一種だと批判。「『リマイグレーション(逆移民)』という言葉は、民族浄化の言い換えに他ならない」「リマイグレーションとは、肌の色や生まれに基づく民族浄化に他ならない」と述べ、AfD側から抗議が起きた。
AfDは「リマイグレーション」について、外国人犯罪者と不法移民の強制送還を指すと説明。一部の極右勢力は、ドイツ国籍を有する外国出身者(帰化人)の強制送還も含むものとして使用している。
免責特権と名誉毀損の例外
ブランドナー議員はメルツ首相の発言を「たわごとだ」と切り捨て、「行政の長である首相がこのようなうそや誹謗中傷を口にすることは断じて容認できない」と批判した。
ドイツでは多くの国と同様、国会議員が国会内で行った発言について免責特権が認められているが、名誉毀損に当たる侮辱は例外となる。近年、政治家を侮辱、やゆ、あるいは激しく批判したことで刑事捜査の対象となった事件が複数発生している。
今年に入ってからも、オンライン上のコメントでメルツ首相を「ラッカッフェ(きざ野郎・うぬぼれ屋の意)」と呼んだ男性が罰金刑を科されたほか、メルツ首相を「ピノキオ(うそつき)」や「うそつきフリッツ」と呼んだ人物らが捜査対象となった。ドイツでは言論の自由に関する法律が大きな物議を醸しており、AfDの一部を含む批判派は、厳格な規制が言論を萎縮させていると主張している。



