特定危険指定暴力団工藤会(本部・北九州市)傘下組織が北九州市小倉北区の同一マンション内に設けた三つの組事務所について、福岡県警が撤去を確認していたことが、捜査関係者などへの取材でわかった。県警が工藤会のトップらを逮捕した「頂上作戦」着手から11日で12年。今夏には26年ぶりにトップが交代しており、警察当局は動向を注視している。
住民側の要望で仮処分、合意書交わし撤去
捜査関係者などによると、マンションは10階建てで、工藤会側が1994~2005年に4室を購入し、四つの傘下組織がそれぞれ事務所を設置した。住民側の要望を受けた県暴力追放運動推進センターが昨年2月、住民に代わって訴訟を起こせる「代理訴訟制度」を活用し、事務所の使用禁止を求める仮処分を申し立てた。同月、福岡地裁小倉支部が使用を禁じる決定を出した。
その後、県警は工藤会側と協議を開始。4室はいずれも事務所として使われておらず、うち3室については今年3~6月、今後も使わない旨の合意書を暴追センターと工藤会側が交わしたことから、いずれも撤去されたと県警は判断した。
残る1室は第三者に売却へ
原告弁護団によると、合意に至ったことを受け、3室については仮処分を取り下げた。残る1室については、工藤会側が組織とは関係のない第三者に売却すると説明しているという。
県警幹部は「マンション内の組事務所は長年の懸案だった。撤去は大きな成果だ」と強調する。
トップ交代から12年、道仁会にも注力
工藤会を巡っては、県警は3月、トップで総裁の野村悟被告(79)の「引退」通知を入手し、拘置所での組員との面会状況などから影響力がなくなったと判断。山口、福岡両県の公安委員会は7月、代表者を会長の田上不美夫被告(70)に変更したと官報で公示した。野村被告の裁判費用などの金銭的負担に組織が耐えられなくなったとみられる。
福岡県内に本拠を置く五つの指定暴力団の組事務所が2014年以降で計59件撤去された。内訳は工藤会36件、道仁会(久留米市)7件、太州会(田川市)6件、福博会(調査中)と浪川会(大牟田市)各5件。
県警が取り締まりを強化しているのが、工藤会の勢力を23年末に上回り、県内で最大勢力となった道仁会だ。16~25年の道仁会系組員の摘発人数は延べ420人と県内で最も多い。一方、組事務所の撤去は24年8月を最後に確認されていないという。執行部の若返りや資金獲得活動を活発化させているとの情報もあり、県警幹部は「工藤会と同様、道仁会の壊滅にも力を入れていく」としている。



