鍋つゆ市場に変化、今冬は「あっさり系」回帰へ ミツカンが新商品発表
鍋つゆ市場に変化、今冬は「あっさり系」回帰へ ミツカンが新商品発表

鍋つゆ市場で今、変化の兆しが見え始めている。麻辣や激辛など濃厚で刺激的な味わいが人気を集めた一方、その反動から、今冬は「あっさり系」への回帰が進むと予想されている。

ミツカンは9月8日、東京支社で「〆まで美味しい鍋つゆ」シリーズの新商品に関するラウンドテーブルを開催した。同社が展開する鍋つゆブランド「〆鍋」は、鍋つゆカテゴリーで13年連続シェアNo.1を獲得している。消費者を取り巻く環境の変化を分析し、今冬の鍋需要を見据えた新商品と開発の舞台裏について紹介した。

「濃い味疲れ」への新たな提案

ミツカンでマーケティングを担当する佐々木楓さんによると、鍋つゆ市場は2025年に約570億円、ここ10年で約1.4倍に成長。一方、直近は高止まり傾向にあり、さらなる市場成長には新たな仕掛けが必要だという。

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そこで佐々木さんが今年のトレンドとして挙げるのが、「あっさり味への回帰」「ハズさない志向」「満足感」の3つだ。「これまで麻辣や激辛など、濃厚で刺激的な味わいがトレンドでしたが、なかには一口目がピークになりやすいものもあります。そうした“濃い味疲れ”を起こしたお客様が、揺り戻しであっさり味や塩味に回帰してくるのではないかと考えています」と佐々木さんは話す。

また、情報があふれることで「どれを選べばいいかわからない」という“選択疲れ”も生まれている。さらに物価高が続くなか、ただ節約するのではなく、メリハリをつけて「満足感」を得たいというニーズも高まっているという。

こうした傾向は、今年7月に実施した「令和の家鍋あるある調査2026」にも表れている。78.3%が「物価高・外食控えの中、この冬は鍋の頻度が増えそう」と回答する一方、75.0%が「鍋はマンネリ化しやすい」と回答。中学生以下の子どもがいる家庭では、「子どもが喜ぶこと」だけでなく、43.6%が「大人も満足できること」を重視していることも分かった。

佐々木さんは「少し前のファミリー像では、子どもが最優先という考え方もあったと思います。でも令和の今は、子どもにも喜んでほしいけれど、大人も満足したい。その両方を満たす必要があるのではないかと考えています。家族全員が満足するために、『〆まで美味しい鍋つゆ』ブランドとして、シリーズ全体で応えていきたいと思います」と述べた。

独自技術で実現した「ゆず塩鍋つゆ」

続いて開発技術部の山中直人さんが、ミツカン独自の設計思想である「味覚曲線」について解説した。味覚曲線とは、味の強度を「先味・中味・後味・余韻」の時間軸で可視化したものだ。

山中さんは「我々は先味が強く、最後はスッと切れるように設計しています。また、途中に『谷』を作ることで味にメリハリを出しています。だらだらと味が残らないようにすることで、余韻が切れたときに『また食べたい』と次の一口を誘い、どんどん食べたくなるように設計しています」と説明した。

新商品「ゆず塩鍋つゆ」の開発を担当した水口達雄さんは、レトルト食品を作るうえで、“ゆず”の繊細な香りを残すことは極めて困難であると指摘する。香りがパウチの袋に吸着したり、加熱殺菌や調理中の熱によって飛んでしまったりするためだという。

「ミツカンでも過去に二度挑戦しましたが、満足のいく品質に届かず商品化を断念しました。しかし今回、独自技術の開発によって、構想から16年でようやく商品化に辿り着きました。成分分析でも、技術なしの場合に比べて圧倒的に多くの香り成分を残すことに成功しています」と水口さんは語った。

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新商品を食べ比べ、本格的な味わい

この日は新商品を含む「〆まで美味しい鍋つゆ」シリーズの試食会も行われた。

実際に食べてみて最も驚かされたのは、水口さんが解説した「ゆず塩鍋つゆ」の食べ比べだ。今回は、独自技術による違いを確かめるため、市販されている完成品と、同技術を使わずに作った非売品の試作サンプルが特別に用意された。試作サンプルは、言われればゆずを感じる程度だったが、完成品からは明らかにフレッシュなゆずの香りが立ち上がってくる。高知県産ゆず皮の風味が出汁と見事に調和しており、最後の一滴まで香りが持続していた。

こちらは「鶏うま塩鍋つゆ」。スープは透き通っており、鶏の旨味だけを純粋に抽出したような極めて上品な味わいだ。雑味が一切なく、体に染み込んでいくような感覚がある。あっさりしているが、香味油のコクによって物足りなさは皆無だ。

続いて、ファミリー層をターゲットにした「お肉がウマい」シリーズもそれぞれ試食。「コクうま牛だし醤油鍋つゆ」は、2種類の醤油に牛の旨味と三温糖の甘みが加わり、クリアながらも非常に濃厚。残ったつゆは牛丼やパスタに使うのもおすすめだという。一方の「香ばしにんにく味噌鍋つゆ」は、焦がしたような香ばしい香りとパンチのあるにんにくが強烈なインパクトを放つ。ジャンクな味わいながらも旨味が抜群に効いており、こちらは余ったつゆを焼きうどんや回鍋肉に使うと美味しく仕上がるらしい。

最もアグレッシブな姿勢を感じたのが、大人向けの「おとなのおいしさ 手摘み花椒の四川式ごま担々鍋スープ」だ。ひと口目から花椒の華やかな香りと痺れが走り、あとから金胡麻の香ばしさが追い上げてくる。辛味も本格的で、麻辣の刺激を求める層を十分に満足させるクオリティ。まさに大人味の本格派だ。

まだ残暑は続いているものの、朝晩には少しずつ秋の気配を感じるようになってきた。これから迎える鍋シーズンに向け、ひと足早く「〆まで美味しい鍋つゆ」シリーズの新作を味わってみてはいかがだろう。