ディープフェイク使うニセ警察詐欺、録画した女性の証言 大阪府警が公開
ディープフェイク使うニセ警察詐欺、録画した女性の証言

6月下旬の午前中、関西在住のITエンジニアの30代女性が在宅勤務中に携帯電話の着信音を聞いた。知らない番号だったが、取引先かもしれないと思い電話に出ると、男性とみられる声が「愛知県警生活安全課の佐藤と申します」と名乗り、女性の名前も呼んだという。

女性は「ニセ警察詐欺」の可能性を疑い、記録を残そうと録音と画面録画を開始。だまされたふりをして対応することにした。女性は朝日新聞の取材に、当時の会話を再現してくれた。

「逮捕した犯罪グループからキャッシュカードが見つかった」

電話の相手は「逮捕した犯罪グループからあなたのキャッシュカードが見つかった」「あなたにも容疑がかかっている」と告げた。心当たりがないと伝えても話は矢継ぎ早に進み、45分後にはオンライン会議システム「Zoom」で特別に取り調べをすると案内された。

女性が仕事中を理由に拒むと、愛知県警捜査2課に所属するという別の人物に電話が転送された。相手は「何か隠していることがあるんじゃないですか。全く身に覚えがないのは事実なんですか」とぶっきらぼうな口調で詰めてきたという。

偽警察官の正体はディープフェイクの可能性

スマホでZoom会議に参加すると、眼鏡をかけたスーツ姿の男が画面越しに所属と名前を名乗り、警察手帳を見せてきた。相手のカメラは30秒ほどでオフになり、女性にはマイナンバーカードの提示を求められた。

「カードが見当たらない」と言うと、家の中をビデオ通話のまま探すよう指示された。女性は書類の山をかき分ける姿をしばらく見せた後、「疲れた」と言って通話を切った。

女性は9月の取材に「相手は高圧的で、かなり焦った。詐欺かもしれないと分かっていても引き込まれてしまいそうになった」と振り返った。大阪府警が公開した動画を解析した専門家は、偽の警察官の映像はディープフェイクの可能性が高いとしている。記事後半では、警察に協力したトレンドマイクロ社の見解も紹介される。