大阪・関西万博を象徴する赤いロゴマークと、様々な形に変化する水を一体化した公式キャラクター「ミャクミャク」の人気は、閉幕1年を経ても衰えを見せない。万博で生まれたデザインは異例の盛り上がりを見せており、公式グッズの売上額は3月末時点で約1290億円に達した。
公式ストアの拡大とグッズ販売の延長
阪神梅田本店(大阪市北区)にあるオフィシャルストアには、ぬいぐるみやマグカップなど、ミャクミャクをあしらったグッズが並ぶ。来年、横浜市で開催される国際園芸博覧会の公式マスコット「トゥンクトゥンク」とのコラボ商品も展開されている。混雑で入場を制限することもあったため、8月には売り場面積を拡大した。
大阪市の会社役員(56)は「ミャクミャクはいろんなものとコラボできる変幻自在なところが魅力。万博が終わっても、新しいグッズが出るので楽しい」と話す。3月末までだった公式グッズの販売期間は2年間延長され、オフィシャルストアは東京や名古屋、神戸などにも出店している。
デザインシステムと「こみゃく」ブーム
ミャクミャクの生みの親であるデザイナー・絵本作家の山下浩平さん(55)は「見る人が感情を想像できるものにしたい」と、目の向きやポーズなどでかわいさを表現したという。「多様性を大切にする万博の理念や、みんなの思い出、エネルギーを未来に伝えていく一つのアイコンになってくれたら」と期待する。
日本国際博覧会協会(万博協会)が導入した「デザインシステム」にも注目が集まる。イベントや商品のイメージを視覚的に統一するルールのことで、万博ではロゴマークにあわせて、目玉の付いた細胞のような赤や青、グレーなどのキャラクターを会場内や公式サイトに登場させた。代表的なイラストが「ID」で、ミャクミャクの子どもに見えると話題になり、「こみゃく」の愛称が付いた。ファンらが描いたこみゃくのイラストはSNSで拡散し、グッズを作る二次創作もブームとなった。
二次創作の広がりとレガシー
閉幕後も、市民がこみゃくのアクセサリーなどの手作りを続けている。2~4月に日本科学未来館(東京都江東区)で開かれた万博の成果を総括する展覧会では、レガシー(遺産)の一例として、そうした作品が展示された。
万博協会は3月に二次創作の手引を策定。営利目的でなければ、個人がイラストや手製のグッズをSNS上で公開することを認めた。定型デザインも用意し、無償で使えるルールも整えた。名刺や会議資料、結婚式の案内状などの申請があり、9月末現在で約200件の許諾を出している。
デザインシステムに携わった一般社団法人「COMMONs」代表理事の引地耕太さん(44)は「市民参加を想定して簡素で余白のあるデザインにしたが、ここまで盛り上がるとは思わなかった。使ったら終わりではなく、みんなで育てたい」と強調する。美術評論家の三木学さん(53)は「パビリオンが解体されてもデザインは残る。ミャクミャクもこみゃくも万博の思い出がよみがえる存在だからこそ、人気が続いているのではないか」と語る。