コーネル大集団レイプ疑惑、同姓同名の男性らに風評被害 殺害予告も
コーネル大集団レイプ疑惑、同姓同名の男性らに殺害予告などの風評被害

米ニューヨーク州の名門コーネル大学の女子学生が学内で男子学生に集団レイプされたと訴えている事件をめぐり、被告の一人と同姓同名の中国系を中心とする男性たちが、インターネット上で激しい誹謗中傷にさらされている。「地獄に落ちろ」「刑務所に入るべきだ」というメッセージや殺害予告が相次いでいる。

同姓同名の無関係な人物にまで怒りの矛先

女子学生は最近、2024年に学内の男子学生社交クラブ(フラタニティ)「カイ・ファイ」のメンバー7人から麻薬ケタミンを投与され、集団レイプされたとして民事訴訟を提起した。事件の詳細が明らかになると、7人に対する怒りが噴出し、ネット上に残された情報を調べ回る「特定班」が現れた。

7人の一人は、米メディアによって韓国人留学生のウィンストン・リー氏と特定されたが、世界中に同姓同名の人物が大勢いることが問題となっている。同姓同名というだけで無関係な人々にまで怒りの矛先が向けられており、中には米国外で暮らし、韓国人留学生とは容姿が似ても似つかない人もいる。

誤って特定された男性が弁護士を雇う事態に

誤って加害者と特定された一人は、中国系米国人の男性だった。ビジネスSNS「LinkedIn(リンクトイン)」のプロフィルによると、男性はニューヨークを拠点とする金融専門職に就いており、2020年にコーネル大学を卒業した。事件が起きたとされる2024年には既に社会人となっている。

男性がリンクトインを通じて受け取ったメッセージの一つには、「もう逃げ隠れできないぞ。お前の人生は終わりだ」と書かれていた。別のメッセージには「お前は相応の報いを受けることになる。つまり刑務所行きだ!! そこで集団レイプされるがいい」とあった。「黒魔術」で呪いをかけたというメッセージもあった。

男性は、中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の自己紹介欄に「コーネル7(コーネル大学集団レイプ事件の加害者とされる7人)ではない」と記載している。男性はTikTokに投稿した動画で、自身の電話番号と両親の住所をネット上に公開した女性を訴えるため、弁護士を雇ったと明かした。

ネットリンチの危険性

同じく間違えられたインドネシア人のウィンストン・リーさんも、憎悪に満ちたメッセージが殺到したのを受け、TikTokで犯人捜しをする特定班に直接呼び掛けた。「私はインドネシア人だ。最近のコーネル大学の事件で名前が挙がっているウィンストン・リーではない」と説明し、「誰かに連絡したり、タグ付けしたり、非難したりする前に、捜している人物の身元を確認して」と付け加えた。

米ペンシルベニア大学に通う中国系米国人のウィンストン・リーさんも、同様のメッセージが殺到したことを受け、リンクトインのプロフィルに「私はコーネル大学の学生ではない」との注意書きを追加した。しかし、こうした訴えも、インターネット掲示板「レディット」で「オンラインハント」と呼ばれる犯人捜しを沈静化させることはできなかったようだ。

韓国人留学生のウィンストン・リー氏について十分な裏付けが取れた情報がほとんどない中、ユーザーたちはその居場所を突き止めようと執拗に調査を続けた。レディットの投稿には、ウィンストン・リー氏が現在、韓国軍で兵役に就いていると主張するものもあった。X(旧ツイッター)の投稿には、ウィンストン・リー氏がコーネル大のキャンパス内で目撃されたとの情報提供を受けたというものもあった。

他の被告6人と同じような名前を持つ男性たちも、誹謗中傷や脅迫のメッセージを受け取ったと訴えている。ポッドキャスト番組の司会者ブラッド・ポルンボ氏は、「こうした社会正義の戦士(ネット上で社会正義を過剰に主張し他者を攻撃する人)は、全く無関係な人たちにメッセージを送り、嫌がらせをしている」と指摘。「こうした問題は刑事訴訟手続き、または何らかの公正な手続きを通じて裁かれるべきであり、ネットリンチや魔女狩りによって裁かれるべきではない」と述べた。

OBにも被害、捜査妨害の恐れも

被告7人が所属していた男子学生社交クラブ「カイ・ファイ」のOBたちも、ネット中傷キャンペーンによる被害を訴えている。OBたちは、事件が起きたとされる2024年より前に卒業していた。OBらの代理人を務めるアダム・フォード弁護士は大学に宛てた書簡で、「彼らはSNS上で事件に関与したとぬれぎぬを着せられ、殺害予告や憎悪に満ちたメールを受け取っている」と訴えた。書簡によると、「ほとんどのOBが、雇用主や大学院から休職処分などの不利益な措置を受けている」という。

ネット上で犯人捜しをする特定班はこれまでも、注目を集めた銃乱射事件などで、罪のない人を誤って容疑者と特定し、誹謗中傷にさらしてきた。陰謀論を研究するマイク・ロスチャイルド氏はAFPの取材に対し、こうした誤認は、すでに混乱している情報環境をさらに悪化させ、誤った手掛かりを生み出すことで実際の捜査を妨げる恐れがあると警告する。

ロスチャイルド氏は「ぬれぎぬを着せられた人々は、執拗に追い回されることが多い」と語った。「身を隠さなければならなくなったり、殺害予告を受けたり、実際に暴力的な攻撃を受けたりすることさえある。一方、ぬれぎぬを着せた側は誤認しても不利益はない」と指摘した。