「船の体育館」解体中断、鑑定まで再開待つよう建築家ら訴え
「船の体育館」解体中断、鑑定まで再開待つよう建築家ら訴え

「船の体育館」(旧香川県立体育館、高松市福岡町2丁目)の解体工事の1カ月間中断を県が決めたことを受け、建築家らでつくる「旧香川県立体育館再生委員会」(長田慶太委員長)は11日、高松市内で記者会見を開いた。中断の間に再生委側が耐震性の現地調査をするが、県はその鑑定結果が出る前に工事を再開するとしており、「鑑定が終わるまで解体を進めるべきではない」と訴えた。

現地調査と鑑定の見通し

再生委側が解体工事の公金支出差し止めを県に求めた訴訟の証拠保全手続きの一環で、高松地裁が現地調査を提案。県が受け入れ、9月15日から10月14日まで工事が中断される。

再生委によると、この間、歴史的な建造物の保存・活用を専門とする業者に再生委側が依頼し、ボーリング調査や実測調査を進める。液状化の危険性、建物の劣化状況、コンクリートの圧縮強度などを調べるという。

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調査計画と県の対応

中断初日は、体育館内に長田委員長らが入って状況を確認し、調査案を調整。連休明けの9月24日ごろから本格的な調査に着手する予定だ。長田委員長も調査に加わり、県側の担当者が立ち会うため平日のみの調査となる。

その後、ゼネコンなどに依頼し、耐震性について鑑定をする。建物を3Dモデル化したうえで、地震の揺れなどを場合分けして計算する予定だという。鑑定には2、3カ月ほどかかる見通しだが、県は中断期間の終了後はすぐに工事を再開するとしている。

長田委員長は「あと数カ月あれば鑑定結果が出るのに、すぐに壊す必要があるのか。県は思考停止の状態ではないか。もう一度検討してほしい」と話し、今後、池田豊人知事に面会を要望するとした。

一方、7日の定例会見で池田知事は、係争中のため協議に応じないとしていた。すぐ工事を再開することについては「耐震性が不十分という結果もある。一日も早い安全確保が求められている」と説明した。

丹下憲孝氏の声明

船の体育館を設計した世界的な建築家、丹下健三の長男で、「TANGE建築都市設計」代表の丹下憲孝氏は9日、声明を発表した。

2012年に同社が実施した耐震診断を県が解体の根拠としていることについて「強い葛藤と憤りを禁じ得ない」「建築的・文化的価値を守り、今後も長く使い続けていただくための『改修(補強)計画の起点』として実施したものであり、『解体のための免罪符』ではない」と批判した。

工事中断については「文化的価値を守るための大きな第一歩」と評価し、「解体ありきではなく、県民、世界中の人々が真に納得できるプロセスと説明がなされることを切に希望する」とした。

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