東京都が、これまで待機児童解消を最優先に進めてきた保育園の新設認可について、認可基準を厳格化する方針を固めたことが、関係者への取材で明らかになった。都は2025年度から、新たに保育園を開設する事業者に対して、これまでよりも厳しい審査基準を適用する見通しだ。
待機児童対策から質重視へ
東京都は2010年代後半から、待機児童問題の解消に向けて保育園の新設を積極的に認可してきた。その結果、都内の保育園数は大幅に増加し、2023年4月時点の待機児童数は過去最少の260人まで減少した。しかし、その一方で、保育士不足や施設の質の低下、さらには事業者間の過当競争といった新たな課題が浮上している。
都の担当者は「待機児童はほぼ解消された。今後は量から質へと政策の軸足を移す必要がある」と述べ、認可基準の見直しに言及した。具体的には、新規参入事業者に対して、これまでの実績や経営の安定性、保育の質に関する計画などをより詳細に審査する方針だ。
事業者への影響
この方針転換により、新たに保育園を開設しようとする事業者にとっては、認可取得のハードルが上がることになる。特に、小規模事業者や新規参入を目指す企業にとっては、厳しい状況となる可能性がある。
一方で、既存の保育園にとっては、競争の緩和につながる可能性もある。都内のある保育園経営者は「これまで新規参入が相次ぎ、園児の確保に苦労していた。認可が厳しくなれば、少しは落ち着くかもしれない」と話す。
保育の質向上への期待
都は、認可基準の厳格化と併せて、既存の保育園に対する指導・監査の強化も検討している。保育の質を確保するため、定期的な訪問調査や、保護者からの意見聴取の機会を増やす方針だ。
専門家からは「待機児童対策としての量的拡大は一定の成果を上げたが、その副作用として保育の質が軽視されてきた面は否めない。都の今回の方針転換は、質の向上につながる一歩として評価できる」との声が上がっている。
東京都は、2024年度中に具体的な認可基準の見直し案をまとめ、2025年度からの適用を目指すとしている。今後の動向が、保育業界や子育て家庭にどのような影響を与えるか、注目される。



