エホバの証人が成分輸血を事実上解禁 自己判断で容認、2世らは過去の清算求める
エホバの証人が成分輸血を事実上解禁 2世らは清算求める

信者が輸血を拒否することで知られるキリスト教系新宗教「エホバの証人」(本部・米ニューヨーク州)が、必要とする成分だけを補う「成分輸血」について信者の自己判断とすると発表した。現在の輸血はほぼ100%が成分輸血のため、「事実上の輸血解禁」となる。「信仰と救命」を巡って続いてきた議論の大きな転換となるものの、教団を批判する2世などからは、過去の出来事の清算を求める声が上がっている。

「見方の調整」と説明

エホバの証人は1870年代初めに米国で始まり、教団ホームページによると、241の国・地域に約920万人、うち日本国内に約21万人の信者がいるとしている。1945年から、独自の聖書解釈で輸血以外の治療を求めてきた。今年3月には「医学の進歩に伴い、聖書の教えにどう従えるかについて疑問が出てきた」として、自分の血液を保存して手術などの際に体内に戻す「自己血輸血」を容認すると発表していた。

教団の最高指導機関「統治体」のメンバー、ジェフリー・ジャクソン氏は9月18日、全世界へのビデオメッセージで「同じ考え方が、ほかの人の血液に由来する赤血球、白血球、血漿、血小板についても当てはまるという結論に達した」として、「使用を受け入れるかどうかを自分で決めることになる」と述べた。成分献血も容認した。こうした変更を「(聖書の)見方の調整」と説明した。他人の血液の成分を分離せず、そのまま使用する「全血輸血」は引き続き禁じる。日本など先進国では昭和55(1980)年を境に成分輸血が主流になっている。

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「大ちゃん事件」大きな議論

エホバの証人を巡っては、昭和60年に川崎市で小学5年の男児がダンプカーにはねられ重傷を負った事故で、信者の両親が輸血を拒み男児が失血死した「大ちゃん事件」が大きな議論を呼んだ。平成12年には最高裁が、宗教上の信念に基づいて輸血を拒むことを患者の意思決定権と認める判断を示した。近年、輸血なしの手術を断った医療機関を信者が提訴する事例が相次いでいる。

一方、厚生労働省は令和4年に公表した指針で、宗教上の理由で児童に輸血など必要な医療を受けさせない行為は虐待にあたるとする指針を公表した。これに対して教団側は国を提訴している。

「医療従事者に謝意を」

教団2世の支援などを行う「エホバの証人問題支援弁護団」は21日に見解を発表し、「成分輸血の使用が認められたことは、エホバの証人の輸血拒否の教理は事実上撤廃されたことを意味する。これは、中核的な教理の大幅かつ抜本的な変更と評価できる」と分析した。そのうえで、「輸血拒否の教理により死亡または重篤な障害を受けた信者およびその家族・親族に対し、十分な説明責任を果たし、輸血を拒否したことで受けた身体的精神的な損失に対し適切な補償を行うべきだ」と求めた。

元2世信者らでつくる「JW児童虐待被害アーカイブ」も同日、過去の方針の下で被害に遭った若者や子供への公式な謝罪や総括と、困難な対応を迫られてきた医療従事者への謝意や説明を求めるコメントを発表した。

母と姉が信者だと国会で告白した参政党の梅村みずほ参院議員はX(旧ツイッター)で、事実上の輸血解禁の発表について「隅々まで共有し、子どもたちの命を二度と奪うことのないように徹底してほしい」と求め、「残された問題は忌避」と教団を批判した。(渡辺浩)

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