40~50代で感じる疲れや息苦しさ、むくみは、単なる加齢やストレスではなく、命に関わる心不全のサインかもしれない。心不全は感染症でもがんでもないが、進行性の病気であり、5年生存率は約50%と、がんに匹敵するほど深刻だ。しかし、早期発見と適切な対処で進行を遅らせることが可能だ。
心不全の危険信号と検査方法
心不全の初期症状として、息切れ、疲労感、下肢のむくみなどが挙げられる。これらの症状が見られたら、循環器内科の受診が推奨される。診断には、冠動脈CTや心臓MRI、血液中のBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)測定などが用いられる。
冠動脈CTは、造影剤を注射して血管を画像化する検査で、循環器内科を標榜する医療機関の一部で実施されている。医師が必要と判断した場合、健康保険が適用され、3割負担で自己負担額は1万円前後となる。一方、検診目的では全額自己負担となり数万円以上かかるが、人間ドックや「心臓ドック」のオプションとして提供する医療機関もある。ただし、造影剤アレルギーや腎機能低下のある人には使用できず、被曝(年間自然放射線量に近い程度)もあるため、事前の説明と同意が必要だ。放射線を使わない代替として、実施施設は限られるが心臓MRIという選択肢もある。
また、心臓に負荷がかかると分泌されるBNPを血液検査で測定する方法もある。保険診療では心不全の診断や治療効果の確認に広く使われているが、検診目的では自費の人間ドックオプションとして選択可能で、費用は冠動脈CTより一桁安い。
心不全パンデミックの現実
医療界では、心不全患者の急増を「心不全パンデミック」と呼び、警戒が呼びかけられている。背景には超高齢化や高血圧、糖尿病などの危険因子を持つ患者の増加がある。また、医療の進歩により心筋梗塞などの救命率が向上した一方で、救命後に心不全を発症する患者が累積している。心不全患者は入退院を繰り返す特徴があり、患者増加によって病床が逼迫し、緊急時の入院が困難になるリスクも指摘されている。
新たな治療の選択肢
心不全治療は進歩しており、新たな作用機序の薬剤も登場している。早期発見と治療開始が予後改善に不可欠であり、危険因子を持つ人は定期的な検査を検討すべきだ。具体的には、40代以降で高血圧や糖尿病、肥満、喫煙習慣がある人は、循環器専門医による評価が推奨される。



