東京大学と大阪大学などの研究チームは、感染力を持たないエボラウイルスを用いた「不活化ワクチン」を人に接種する治験で、安全性と一定の有効性を初めて確認したと発表した。この成果はエボラ出血熱のワクチン開発につながるもので、論文が米国の科学誌に掲載された。
治験の内容と結果
チームは、遺伝子組み換え技術などで増殖能力や感染力を失わせたエボラウイルスを基に不活化ワクチンを開発。安全性を検証するため、20~45歳の成人男性29人に4週間間隔で2回接種する治験を実施した。その結果、重い副反応は確認されず、感染を防ぐ抗体の量が上昇したという。
背景と意義
エボラ出血熱は主にアフリカで発生し、致死率は最大9割に達する。これまで使われてきたワクチンは、エボラウイルスの遺伝子の一部を毒性の弱い別のウイルスに組み込んで投与する方式が主流だったが、重い副反応のリスクが課題となっていた。
チームの河岡義裕・東大特任教授は「今後はより効果を高める物質を加えたワクチンで治験を進め、実用化につなげたい」と話す。
専門家の評価
長崎大熱帯医学研究所の安田二朗教授(ウイルス学)は「世界の感染症対策に貢献できる成果で、大きな意義がある」と評価している。



