銅化合物がアルツハイマー病マウスの記憶力を44%改善、脳のゴミ排出ポンプを修復
銅化合物がアルツハイマー病マウスの記憶力を44%改善

オーストラリアのモナシュ大学などに所属する研究チームは、銅をベースとした化合物「Cu(ATSM)」が、アルツハイマー病の原因となる有毒タンパク質の蓄積を減らし、マウスの実験において記憶力を回復させることを示した研究報告を発表した。この研究成果は、査読付きの学術誌『ACS Chemical Neuroscience』に掲載された。

脳のゴミ排出ポンプが鍵

アルツハイマー病は、脳内にアミロイドβと呼ばれる有毒なタンパク質が、いわば脳のゴミとして蓄積することで進行する。健康な状態であれば、血液脳関門(脳にある血管の壁)に存在する「P糖タンパク質(P-gp)」ポンプという特別な排出装置が、このゴミを脳の外へと運び出してくれる。しかし、病気になるとこのポンプの働きが衰え、有害な物質が脳内に溜まり続けてしまう。

今回使用されたCu(ATSM)という銅化合物は、この低下したポンプ機能を回復させる働きを持つ。研究チームによると、薬の投与によって脳内のポンプの量が約24%増加し、ゴミを排出する能力が再び活性化されたという。

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マウス実験で記憶力44%向上

その結果、56日間の治療で有毒なアミロイドβが42%減少し、空間を認識する記憶力も約44%向上するという効果が確認された。この化合物の強みは、人間への実用化に向けた道のりが比較的短いと予想されることだ。新薬をゼロから開発するには通常莫大な時間がかかるが、Cu(ATSM)はすでにパーキンソン病やALS(筋萎縮性側索硬化症)といった別の神経疾患向けに安全性のテストが進められている。そのため、アルツハイマー病患者を対象とした臨床試験へもスムーズに移行できる可能性が高い。

研究チームは「Cu(ATSM)が血液脳関門のP糖タンパク質を回復させ、認知機能を改善することを実証した。この化合物は既に他の神経変性疾患で安全性が評価されており、アルツハイマー病治療への応用が期待される」と述べている。

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