AED使用で生存率1.5倍、脳機能良好な状態で 大阪大など調査
AED使用で生存率1.5倍、脳機能良好な状態で 大阪大など調査

自宅以外の場所で倒れ、救急隊到着前に自動体外式除細動器(AED)で電気ショックを受けた人は、受けなかった人と比べ、1カ月後に脳の機能が良好な状態で生存している割合が1.5倍程度高いことが、大阪大などの研究グループの調査で分かった。AEDは設置台数が増える一方で使用率は低迷しており、調査結果は市民による迅速な救命措置の重要性を裏付けた形だ。

調査の内容と結果

調査は、令和4~5年に公共の場で発生した心停止事案(総務省消防庁まとめ)のうち、市民が目撃し、電気ショックの対象となる心室細動による心停止3838件を分析。このうちAEDによる電気ショックを受けたのは1697件で、受けなかった人との回復状況を比較した。

その結果、心停止から0~4分の間に電気ショックを受けた人の中で、1カ月後に脳の機能が良好な状態で生存していた人の割合は63.4%。受けなかった人の48.8%より1.33倍高かった。5~9分では1.49倍、20分以上でも1.19倍高かった。

AED普及の背景と課題

市民によるAED使用が認められたのは平成14年、高円宮さまが運動中に心室細動で倒れ、薨去(こうきょ)されたことがきっかけだ。当時は医療従事者以外はAEDを使用できなかったため、16年に厚生労働省が、市民が使用しても医師法違反に当たらないとの通知を出した。その後AEDは急速に普及し、国内の設置台数は約70万台に上る。

ただ、設置場所が分からないことや使用への不安などが障壁となり、実際に電気ショックが行われる割合は数%程度にとどまっている。全てのケースで電気ショックが必要とは限らないが、心停止が長引くほど脳は損傷を負う。

医師の呼びかけ

研究グループの一人で、国立循環器病研究センター情報利用促進部長の北村哲久医師(臨床疫学)は「時間の経過に関係なく、AEDの使用は重要だということが示された」と指摘する。

北村医師は「『助かったが社会復帰は難しい』ではなく、脳の機能が倒れる前と同じ程度に戻ることが重要だ」と指摘。「救急隊の到着を待つのではなく、必要な判断は機械がしてくれるので、迷わずAEDを使用してほしい」と呼びかけている。