65歳未満で発症する若年性認知症の当事者は、国内に3万6000人と推計されている。現役世代を中心に、診断後に退職や休職を余儀なくされる人は少なくない。国は令和6年、「新しい認知症観」を掲げた施策推進の基本計画を閣議決定し、当事者の社会参画を明記したが、世論調査では症状への否定的な見方が依然として強い。今月は「認知症月間」で、理解の浸透が課題となっている。
京都府の当事者向け活動
京都府向日市の建築会社の一室では、若年性認知症の当事者が高齢者施設から集まった洗濯後の衣服などをたたみ、袋に入れる作業に熱心に取り組んでいた。この活動は、府が基本計画策定前の5年から月2回実施しているもので、報酬はネット1つにつき50円。2回で計2000~3000円が支払われる。
府の若年性認知症支援コーディネーター、木村葉子さん(60)は「当事者の多くは発症後も社会参画を望んでいる」とし、「金額ではなく、対価を得ることがやりがいになっている」と話す。
活動のきっかけと当事者の声
この活動のきっかけは、6年前に相談に訪れた鈴木久さん(67)=仮名=の「働きたい」という一言だった。鈴木さんは大手メーカー在職中に物忘れがひどくなり受診。認知症と診断されたが、そのまま定年まで働き、再雇用期間の終了を迎えようとしていた。
木村さんらが思案し、府内企業などの協力を得て、自力で通える当事者を対象に活動を開始した。鈴木さんは「参加することで生活のリズムを整えられ、外出して人と会うことで精神面も保てる。体力が続く限り通いたい」と語る。
鈴木さんは会社の理解を得て仕事を続けられたが、若年性認知症の当事者には、発症後、退職を余儀なくされたり、周囲に病名を明かせず孤立したりする人も多い。若年性発症後も勤務を継続している人は7.4%にとどまる。



