北海道新幹線トンネル工事進捗93%、札樽トンネルで地質不良に苦戦
北海道新幹線トンネル93%掘削完了、札樽で地質対策

北海道新幹線の新函館北斗~札幌間(約212km)のトンネル工事は、総延長の約93%(157km)の掘削が完了した。9月1日付の工事月報によると、トンネル17本のうち12本が掘削を終え、路盤整備や軌道敷設などの段階に入っている。一方で、札樽トンネルや羊蹄トンネルなどでは地質不良や岩塊による遅延が続いている。

トンネル工事の現状と課題

トンネル区間は合計約169kmで、全体の約79%を占める。17本のトンネルのうち、後志、二ツ森、ニセコ、宮田、昆布、国縫、豊野、幌内、立岩、野田追、磐石、二股の12本は掘削を完了した。残る5本のトンネルでは、以下のような課題に直面している。

  • 札樽トンネル札幌工区:市街地地下を進むため、函館本線盛土区間やマンション、ガススタンド、跨線橋の基礎部分に近く、慎重な施工が必要。地質不良区間では凍結工法を採用し、地下水を凍らせるための凍結管を地中に埋設している。1カ月の掘削延長は22m。
  • 札樽トンネル銭函工区:新函館北斗方は地質不良区間が継続中。1カ月の掘削延長は54m。
  • 札樽トンネル石倉工区:2026年4月6日にトンネル構内へ土砂流入が発生し、復旧作業中。掘削停止により1カ月の掘削延長は0m。
  • 羊蹄トンネル有島工区:掘削進路上に岩塊がありシールドマシンが停止。地上からのボーリング調査で岩塊を確認し、到達立坑からNATM工法で掘削しながら岩塊を撤去している。1カ月の掘削延長は36m。
  • 内浦トンネル東川工区:地質不良区間により進捗が低下。1カ月の掘削延長は8m。
  • 渡島トンネル南鶉工区:地質不良区間が継続中。1カ月の掘削延長は26m。
  • 渡島トンネル台場山工区:地質不良区間が継続中。3交代制で24時間掘削している。1カ月の掘削延長は27m。

羊蹄トンネル有島工区では、火山活動により未固結の土砂・礫・火山灰が複雑に混在し、地下水も豊富な地盤であることから、シールド工法が採用された。しかし、シールドマシンの弱点となる岩塊が出現したため、到達立坑からNATM工法でサブトンネルを掘削し、岩塊をひとつずつ取り出す作業が行われている。この工法はSENS工法(Shield・ECL・NATM・System)と呼ばれ、シールド工法とNATM工法のハイブリッドで、セグメントの製造と組み立てが不要なため低コストとされる。

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高架橋工事と軌道工事の進捗

高架橋と橋りょうを合わせた土木工事は総延長42.9kmのうち13.9kmが施工済みで、進捗率は約32%。一部の工区では地盤状況に応じた設計変更や人手不足、生コンクリートの需給逼迫により遅れが出ている。

  • 新小樽(仮称)駅高架橋外1箇所:地盤状況を踏まえた補強工事が追加され進捗低下。
  • 琴平高架橋:基礎施工時に地中から大きな石が見つかり、撤去作業と設計見直しで進捗低下。
  • 倶知安駅高架橋:冬季の生コンクリート確保困難、作業員の需給逼迫で進捗低下。
  • 岩尾別高架橋:基礎施工時に地中の大きな石が見つかり、撤去作業が追加。
  • 宮田高架橋外1箇所:作業員の需給逼迫で進捗低下。
  • 長万部駅高架橋:駅部の大型構造物で生コンクリートの需給逼迫により進捗低下。
  • 国縫高架橋:地盤状況に基づく補強範囲の見直しと作業員の需給逼迫で進捗低下。

軌道工事は、トンネルや高架橋の進捗を受けて進められるため、現時点では進捗率が低い。工事は「基準器設置」「一次溶接」「仮軌道設置」「軌道スラブ建設」「モルタル注入」「レール敷設」「二次溶接」「レール面整正」の順で進む。レールは25m単位で輸送され、軌道基地で一次溶接されて200mレールとなり、敷設現場でさらに溶接してロングレール化される。

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鉄道・運輸機構によると、レールは2024年10月に北九州市の工場で製造され、函館港に輸送・保管後、2025年9月から軌道基地への搬入が始まった。2025年4月には、北九州市からの貨物列車に150mレールを搭載し、4日間かけて函館本線長万部駅に輸送する取り組みも開始された。150mレールをそのまま輸送することで、切断と溶接の工程を省略できるという。

鉄道・運輸機構は毎月1日現在の「北海道新幹線 最新の工事進ちょく状況」を公式サイトで公開している。