大阪市を廃止して特別区に再編する「大阪都構想」をめぐり、「大阪市を廃止する」という文言を避けるよう求める陳情書を、大阪維新の会所属の大阪府議の秘書が市議会へ提出していたことがわかった。その後、外部からの指摘を受けて、取り下げたという。
秘書「維新の主導という誤解を防ぐため」
この陳情書を提出したのは、都構想の具体案をつくる法定協議会のメンバーでもある維新府議の秘書。秘書は29日、朝日新聞の取材に、府議に事前相談せずに提出したと説明した。そのうえで、外部の指摘を受け「(陳情書が)維新の主導だという誤解を防ぐために取り下げた」とし、「結局誤解を招いてしまったのは浅はかだったと思っている」と語った。
市議会関係者によると、取り下げられた陳情書では、市が都構想を説明する際に大阪市の「廃止」という表現は一面的で誤解を招きかねないとして、「再編・発展」の使用を求める内容だった。
別の陳情書は採択、住民投票の記載求める陳情は不採択
都構想を説明する表現をめぐっては、今月25日に開かれた市議会の財政総務委員会で、今回の秘書が取り下げたものとは別に、「廃止」を避け「再編」などを使うよう求める市民からの陳情書が採択されている。一方で、住民投票の投票用紙に「大阪市を廃止し、特別区を設置する」との文言を明記するよう求める陳情は不採択になっていた。いずれも市議会で過半数を占める維新側の意向が反映された形だ。
横山英幸市長(大阪維新の会代表代行)はこれまで、議会答弁などで「『廃止』は使うべきではない。『特別区設置』という言葉を使いたい」と主張。都構想が実現しても「区役所も、町会も、祭りも、行政サービスも残る」などと理由を説明していた。
過去の住民投票でも表現が焦点に
「廃止」や「再編」の表現は、過去の住民投票でも焦点となってきた。
2015年の1回目の投票用紙には「大阪市における特別区の設置についての投票」と記載された。だが、20年の2回目は「大阪市を廃止し特別区を設置することについての投票」と、「大阪市を廃止」を明記した表現に変わった。
投票用紙の記載内容は市選挙管理委員会が決める。1回目の住民投票後の18年、「市が存続したままの印象を与える」と文言の修正を求める陳情が市議会で採択されたことなどを踏まえ、2回目の実施の際に市選管が記載内容を変更した経緯がある。
今回、再び住民投票が実施されることが正式に決まれば、改めて市選管が投票用紙への記載文言を決める見通しだ。
維新代表の吉村洋文・大阪府知事は9月28日、投票用紙の記載内容について記者団から問われると、市議会で今回採択された陳情に言及し「(市)選管とすれば尊重されるべきもの。市民の声を無視するのか」と牽制(けんせい)していた。