高市早苗首相(自民党総裁)は16、17日の党役員人事と内閣改造で、政権の「骨格」を維持する方針だ。「代わり映えしない」ともささやかれるが、刷新感より政権基盤の安定性を重視する狙いがある。来年の総裁選を見据えた「布石」の意味合いもにじむ。
麻生氏への配慮、幹事長も続投へ
人事構想が大詰めを迎える中、首相は9日、首相官邸で麻生太郎副総裁と約30分にわたって会談した。閣僚の一人は言う。「今回の人事で首相は麻生さんに相当気をつかっている。首相は支持率頼みで党内に派閥はない。やはり麻生さんを無視した政権運営はできないのだろう」
高市政権を支える「骨格」の一つが、麻生氏、その義弟で同じ派閥の鈴木俊一幹事長だ。今回の党役員人事で、幹事長を交代させるかどうかが注目されたが、結局、首相は両氏とも続投させる方向で調整している。
「後見役」麻生氏との関係、減税議論で見せた歩み寄り
麻生派は昨年10月の総裁選で高市氏を支援し、高市政権誕生を後押しした。それ以来、麻生氏は、党内基盤の弱い首相の「後見役」とみなされている。
必ずしも首相と麻生氏の結びつきが強いとは言えないが、政権発足以来、互いに配慮を見せている。その象徴が、食料品の消費減税をめぐるやり取りだ。減税への反対論が党内にうずまく中、7月末、首相は党本部で麻生、鈴木両氏と面会し、減税に理解を求めた。麻生氏らは財政規律を重視する立場だが、「首相が決めたことだから」と理解を示したという。自民関係者は「麻生氏が先んじて矛を収めたことで議論がまとまった。首相は麻生氏に感謝しているはずだ」と解説した。
「数」の面でも重要、来秋の総裁選への足がかり
首相にとって麻生氏の支えは、「数」の面でも重要性を持つ。旧安倍派などの裏金問題で派閥が軒並み解散する中、党内で存続するのは麻生派だけ。60人のまとまりを維持する麻生派の支持を取り付けられれば、来秋の総裁選で再選に向けた足がかりになる。そのため、首相は内閣改造で「実力主義」の起用に意欲を見せるが、麻生氏の意向には一定の譲歩をせざるを得ない状況だ。
首相はさらに、内閣の要である官房長官の人事などでも麻生氏の意向を踏まえた判断が求められるとみられる。「ポスト高市」の処遇をめぐっては、党内でさまざまな思惑が交錯しており、今後の人事の行方が注目される。



