防衛公社・国有工廠構想は失敗する?防衛産業の統廃合と改革意識の欠如
防衛公社構想は失敗する?防衛産業の統廃合と改革意識の欠如

日本政府と自民党は、防衛装備の生産基盤強化に向けて「防衛公社」や国が設備を保有し民間企業が生産を担当する「国有施設民間操業(GOCO)」の設立を検討している。これらの構想は2026年末に改定される国家安全保障戦略などの「安全保障関連3文書」に方針として盛り込まれ、翌2027年の通常国会で関連法の整備を目指している。

しかし、軍事ジャーナリストの清谷信一氏は、これまでの防衛調達および防衛産業政策を見る限り、政府、防衛省、経済産業省、防衛産業に当事者意識と能力が欠けているため、これらの構想は失敗するだろうと指摘する。清谷氏は、防衛分野ではないが、かつて経産省が音頭を取って「成功確実」と喧伝された三菱重工業の「リージョナルジェット」(MRJ)の失敗を例に挙げる。

MRJの失敗が示す当事者意識の欠如

清谷氏はMRJの失敗を10年以上前に「予言」し、その通りになったと述べる。パリ航空ショーでの初お目見えの際、日本大使公邸で行われたMRJのレセプションでは、潜在顧客であるエアラインやリース会社、報道関係者はほとんど招かれず、8割以上が国内産業の関係者で飲み食いしていただけだったという。清谷氏はこの事実に愕然とし、旅客機ビジネスに対する意識の欠如を痛感した。その後も警鐘を鳴らし続けたが、関係者が当事者意識を持ち始めたのはプロジェクトが瓦解する直前であり、失敗後は誰も責任を取らなかった。

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C-2やUS-2の輸出も失敗

航空自衛隊のC-2輸送機や海上自衛隊の飛行艇US-2の民間転用輸出も同様の状況だ。防衛省や経産省は鼻息が荒かったが、売れなかった。清谷氏によれば、両機種とも耐空証明や型式証明を取得しておらず、取得には数百億円のコストがかかる。何機売れば元が取れるかを考えれば、民間で売れるはずがない。さらに、軍用機としても海外製より単価も維持費も極端に高かった。

防衛省が開催した「防衛省開発航空機の民間転用に関する検討会」の議事要旨は、まるでファンタジー小説のようだと清谷氏は批判する。国が輸出を目論むUS-2飛行艇の消火型(山林火災などの消火用)に関し、以下のように分析している。「消防飛行艇の市場は、世界で180機程度であり、すべてをUS-2の民間転用機に置き換えられれば、現在の消防飛行艇の市場価格である(編集部注:カナダ・ボンバルディア製の)CL415の1機あたりの価格約30億円と対抗できる価格帯になる可能性あり」

防衛省・経産省の当事者意識不足

清谷氏は、防衛省や経産省には輸出や産業育成に対する当事者意識が根本的に欠けていると指摘する。例えば、防衛省はわざわざコストがかかる調達を続けており、防衛企業もやる気がないという。このままでは防衛産業のさらなる弱体化を招く恐れがある。

政府が検討する防衛公社やGOCO構想も、こうした意識改革なしには成功しないだろう。清谷氏は、単なる組織改編ではなく、統廃合や抜本的な改革が必要だと訴えている。

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