麻生太郎が「愛子天皇」を拒む理由…男系男子にこだわる長老政治家の本心
麻生太郎が「愛子天皇」を拒む理由…男系男子にこだわる本心

高市政権は今国会中の皇室典範改正に意欲を見せている。その中核にあるのが、旧宮家の男系男子を養子として皇族に迎える案だ。この動きを主導するのが、自民党の麻生太郎副総裁である。コラムニストの矢部万紀子氏は、「鍵を握っているのは麻生氏だ。世論が女性天皇を容認する中でも、麻生氏は譲ろうとしない。その頑なさは、吉田茂の孫という自負と無縁ではないだろう」と指摘する。

麻生氏にとって「死活的な課題」

政府が目指す皇室典範改正は、①女性皇族が結婚後も皇族の身分を保つ、②旧宮家の男系男子を養子として皇族に迎える——の二本柱だ。特に②が高市政権下で推進されたのは、麻生氏の強い影響力による。高市政権を事実上支えたのが麻生氏であり、各党の意見を取りまとめた森英介衆院議長も麻生派の大幹部だからだ。

森氏ら衆参両院の正副議長は6月22日、政府の改正案骨子を了承した。麻生氏は自身の派閥会合で「皇室典範改正は死活的な課題だ」と述べ(4月16日)、安定的な皇位継承に関する「立法府の総意」が取りまとめられた後は「長い年月がかかったが、ようやくここまでたどり着いた」(6月11日)と感慨深げに語った。

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麻生氏の皇室観——「臣茂」の影響

麻生氏の著書『祖父・吉田茂の流儀』(2000年刊)を読むと、彼の皇室観の一端が垣間見える。同書では、祖父である吉田茂が1952年の明仁親王(現上皇)の成年式と立太子礼の際、総理大臣として祝いの言葉で自らを「臣茂」と述べたエピソードを紹介。この表現は民主主義に反すると議論を呼んだが、吉田茂は「臣茂」という立場を貫いた。

麻生氏は祖父を通じて皇室への忠誠心を学んだとみられる。しかし、著書全体を通じて麻生氏自身の皇室観は明確には描かれず、母・麻生和子氏の著書『父 吉田茂』や吉田茂本人の『回想十年』に依存する部分が大きい。

世論と旧宮家の現実

世論調査では女性天皇や女系天皇への支持が過半数を占める中、麻生氏は男系男子に固執する。その背景には、吉田茂の孫としての自負があると矢部氏は指摘する。「麻生氏からすれば、女性天皇を認めることは祖父のレガシーを否定することになる」という。

一方、旧宮家の当事者からは「女系が入っていてもいい」との声も上がっている。旧宮家関係者の中には、男系男子にこだわらない柔軟な考えを持つ者もいる。

愛子さまに引き継がれた帝王学

矢部氏は、愛子さまが「微動だにしない」姿勢で帝王学を引き継いでいると評価する。その一方で、麻生氏の動きは「平安時代の藤原氏のように、皇室を外部からコントロールしようとするものだ」と批判する。

麻生氏がなぜここまで男系男子にこだわるのか。その根底には、幼少期から学習院で育ち、妹が三笠宮寬仁親王妃であるなど皇室と密接な関係にあることがある。しかし、そうした環境にいながらも男系男子にこだわらない人もいる。麻生氏の場合は、麻生グループの御曹司として「現状」に疑問を感じることなく育ったため、「現状維持=伝統」という思考に陥りやすいという指摘もある。

今後の展望

皇室典範改正を巡る議論は、今国会でさらに加速する見通しだ。麻生氏の強い意向がどのように反映されるのか、国民の視線が注がれている。

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