北陸新幹線の延伸計画を巡り、与党整備委員会は2026年7月15日、「小浜・京都ルート」のうち新駅をJR桂川駅(京都市南区)近くに設置する「桂川案」を採用することを決定した。これまであまり注目されていなかった案の選定に、京都府内の関係者の間では様々な思いが交錯している。
JR桂川駅の特徴と周辺環境
桂川案で新駅の候補地となるJR桂川駅は、2008年に開業した比較的新しい駅で、京都駅の南西約5キロメートルに位置する。同駅から東海道線で2駅目にあたり、大型商業施設「イオンモール京都桂川」に直結している。駅北側には陸上自衛隊桂駐屯地が、北約2キロメートルには桂離宮がある。駅の西側約600メートルには阪急洛西口駅があり、周辺には住宅地が広がるベッドタウンとしての性格を持つ。
京都府・市の慎重な姿勢
京都府庁で取材に応じた西脇隆俊知事と松井孝治京都市長は、着工5条件の一つである「地元同意」について明言を避け、今後の動きを注視する姿勢を示した。
西脇知事は従来と同様、財政負担や地下水への影響などの課題を挙げ、「桂川案になっても大きな変更はない」と強調。舞鶴や亀岡のルート案が不採用になったことを受け、地域振興を念頭に「国に積極的な措置を要望する」と述べた。
松井市長は与党整備委員会のヒアリングで伝えた財政負担の懸念などを踏まえ、相当程度の配慮があったと考えられるとした一方、「桂川案に絞り込まれた以外は昨年の参院選前の状況に戻った。市域を通るなら懸念と課題を説明する私の職責は変わらない」と話した。
再検証に落胆する誘致自治体
ルートの再検証を受けて誘致活動を進めた自治体からは、再検証を疑問視する声が上がっている。
亀岡ルートの誘致を進めていた桂川孝裕亀岡市長はコメントで「試算の裏付けや山積する諸問題、沿線自治体の切実な声をどう受け止め決定に至ったのか、詳細なプロセスが分からない」と指摘した。
舞鶴ルートの誘致に力を入れた鴨田秋津舞鶴市長は「与党整備委員会が沿線自治体へのヒアリングを行わず非公開で協議を進めた。再検証の根拠が示されず期待した再検証とはほど遠い」と非難。「将来の山陰新幹線の誘致を含め、引き続き舞鶴ルートの重要性を訴える」とコメントした。
京都商工会議所の堀場厚会頭は「長年停滞してきた議論を前進させるものだ」と一定の評価を示したものの、「舞鶴ルートこそが長期的な国益にかなう選択肢だ。決定は残念だ」との見解を述べた。



