2023年6月19日、インドネシアのボゴール宮殿でジョコ・ウィドド大統領夫妻による歓迎行事に出席された天皇皇后両陛下。この写真は、皇室が国際社会で活躍する姿を示す一方、国内では皇族数の減少という深刻な課題が浮き彫りになっている。
少子高齢化は“まさに有事”
日本の総人口は約1億3000万人を数えた時代も過去のものとなった。2025年の国勢調査によれば、約1億2305万人。前回から約309万人減少した。人口減少の原因は少子化にほかならない。厚生労働省が2025年6月3日に発表した人口動態統計(概数)によると、2025年の合計特殊出生率は過去最低の1.14で、10年連続の低下となった。出生数も67.1万人と過去最少を記録。国立社会保障・人口問題研究所の2023年公表予測では67万人台となるのは2040年とされていたが、国の想定より約15年早いペースで少子化が進行している。
石破前首相は2015年7月7日の参議院内閣委員会で、「このままいくと、西暦2900年には日本人は4000人になる。西暦3000年になると日本人って1000人になる。結局、国はなくなっていくわけで、これが目に見えないけれどもじわじわと進んでいる、これを有事と言わずして何と言う」と述べた。少子化のペースが15年早まったことで、この予測もさらに悪化している。
「立法府の総意」がようやくまとまった
2025年6月10日、皇族数確保策に関する「立法府の総意」が取りまとめられた。皇族女子の生涯身分保持と、養子縁組による旧宮家男子への皇籍付与を認める内容で、男系継承を事実上強化するものだ。長年の議論が一区切りを迎えようとしているが、反対論者からは「女系天皇」論も目立つ。
2005年の小泉政権下での「皇室典範に関する有識者会議」は、「社会の少子化の大きな要因の一つとされている晩婚化は、女性の高学歴化、就業率の上昇や結婚観の変化等を背景とするものであり、一般社会から配偶者を迎えるとするならば、社会の出生動向は皇室とも無関係ではあり得ない」と指摘。筆者の中原鼎氏は、民間の傾向がそのまま皇室に当てはまるわけではないとしつつも、晩婚化が后妃選びに影響しうる考え方には一定の説得力があると認める。しかし、少子化が深刻だからこそ別の視点が必要だと主張する。
皇室の養子縁組が社会に与える影響
中原氏は、「皇室ですら養子縁組なさるということが、社会に根強い偏見の解消につながり、ひいては少子化という静かな有事を反転させる力になりうるのではないか」と述べる。歴史的に皇室は一般社会の影響を一方的に受けるばかりではなく、皇室の行動が社会に影響を与えてきた。養子縁組に対する偏見が少子化の一因とも言われる中、皇室が率先して養子を受け入れることで、社会全体の意識改革を促す可能性がある。
一方、秋篠宮さまは「国費負担の観点では、皇族が少ないのは悪くない」との発言をされたが、皇族数の減少は皇室の機能維持に支障をきたす。今回の養子案は、伝統を尊重しつつ、少子化時代に適応するための現実的な方策と言える。
「反転のラストチャンス」は目前
少子化の進行は予想を上回るスピードで進んでおり、国立社会保障・人口問題研究所の予測よりも15年早いペースだ。このままでは、石破氏が警告した「日本人1000人」の未来も現実味を帯びる。皇室の養子縁組が社会のモデルケースとなり、少子化対策の一助となることが期待される。
中原氏は、「反転のラストチャンスはもはや目前」と警鐘を鳴らす。皇室が伝統を守りながらも、時代の変化に対応する姿勢を示すことで、国民の意識改革を促し、少子化という静かな有事を乗り越えるきっかけになるかもしれない。



