大阪府泉佐野市が導入を目指す、親が養育できない子を匿名で託す「赤ちゃんポスト」などの事業を巡り、同市と大阪府が27日、運用体制を議論する初めての会議を開いた。乳児を保護する責務を負う府から、体制が整わないまま始めると預け先のない子が出るとの懸念が示され、市は開始時期を当初の2027年1月末から27年度中に延期する方針を表明した。
赤ちゃんポストと内密出産の計画
市の計画では、ポストを市が出資する「りんくう総合医療センター」に設置。受け入れ対象は生後1か月未満とする。妊娠を周囲に言えず、医療機関にのみ身元を明かして匿名で産む「内密出産」にも対応する。実現すれば行政主導は初の事例となり、初年度の受け入れを、それぞれ20人ずつと見込む。
一方、母親が手放した子の養育は児童相談所を管轄する府が担う規定で、府によると、府所管の乳児院(定員140人)は8割が埋まっている状況という。
府の懸念と知事の警告
会議で府は、初年度から行き場のない子が出る恐れがあると指摘。吉村洋文知事は、見切り発車をして事業が止まる事態を危惧し、「来たのに対応できないは許されない。逆に行政では(赤ちゃんポストを)できないとなってしまう」と述べた。
これに対し、千代松大耕市長は、自前の乳児院や一時保護施設を早急に整備する意向を示した。施設の人員確保の見通しは立っていないとしつつ、「早く始めることで救える命がある」として府に理解と協力を求めた。
延期決定と今後の方針
終了後、記者団に対し、千代松市長は「来年1月末にはこだわらない」と従来の方針を撤回し、乳児院を整備した上で27年度中の事業開始を目指すとした。吉村知事は「受け皿なくして出発することがないように」と注文を付けた。



