自民党の「猫だまし」に野党が猛反発、選挙制度改革へがっぷり四つの注文
自民党の「猫だまし」に野党が猛反発、選挙制度改革へがっぷり四つの注文

自民党が衆院選挙制度改革を巡り、野党から「だまし討ち」と批判される対応を繰り返している。直近では、与野党でつくる「衆院選挙制度に関する協議会」の座長を務める自民党の鈴木馨祐・前法相が8月に示した試案に対し、野党が「またか」と猛反発している。

試案は微修正で抜本改革を回避

試案は、現在の小選挙区比例代表並立制を維持したままの微修正で抜本改革を避け、自民党と日本維新の会の合意である議員定数の削減を行う内容だ。主目的が後者にあることは容易に想像がつく。国民民主党幹部は「維新の会との関係を重視する高市早苗首相の結論にもっていくために行司役が中立を装って方向性を示している」と受け止めている。

野党に根強く残る「だまし討ち」の記憶

野党側には、飲食料品の消費税率引き下げについての社会保障国民会議での議論や、皇族数の確保に関する「立法府の総意」のとりまとめから改正皇室典範の成立に至る過程でも、「与党はだまし討ちをした」という思いがある。細川護煕元首相は「文芸春秋」9月号で、改正皇室典範を「駆け足でだまし討ちの様な形で成立した」と断じた。細川氏は、皇室典範の改正は「この国のかたち」に関わっているがゆえ、深刻な問題をはらんでいると指摘している。

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選挙制度改革には慎重な議論が必要

選挙制度も、統治機構のあり方に関わる「憲法典に準じる法律」だとも言われている。イタリアのように、選挙制度改革には国民投票を伴う国もある。それだけ慎重で深い議論と、幅広い合意が求められる。

細川政権の時に導入が決まった衆院の現行選挙制度は30年以上、抜本改革が行われずに来た。1人を選ぶ小選挙区制では、有権者の不興を買わないように政治家は不人気な難題を先送りしがちだ。1年半に1回程度の頻度で行われる戦後の国政選挙の多さもあって、大衆迎合のポピュリズムに陥りやすい構造は「失われた30年」の一因でもある。ほかにも、得票に比して過大な議席が得られるなど多くの欠点や課題が指摘されながら、有権者の関心が薄いから、政治家も本腰が入らない。

改革機運をしぼませるのは惜しい

近年、改革機運を急速に高めたのは、岸田文雄政権の時に顕在化した自民党派閥を舞台にした「政治とカネ」の問題だが、選挙制度を変えれば全てうまくいくという幻想は「平成の政治改革」で砕かれている。参院の選挙制度改革、地方分権、政党法制定など、「国のかたち」に関わるいくつもの改革が必要だ。選挙の現場に立ち続けている政治家の方が制度の長所、短所をよく理解しているはずだ。自己否定に等しい議員定数削減という弥縫策で改革機運をしぼませるのは惜しい。

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