イ・チャンドン監督の8年ぶりとなる長編新作『もしもの愛』が、第83回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門で銀獅子賞(審査員大賞)を受賞した。日本では、11月6日のNetflix独占配信に先駆け、10月23日より一部劇場で公開される。
作品概要とキャスト
物語の中心となるのは、会社を解雇されたホソク(ソル・ギョング)と妻ミオク(チョン・ドヨン)。ある出来事をきっかけに、ドキュメンタリー映画監督のイェジ(チョ・ヨジョン)と夫サンウ(チョ・インソン)が2人のもとを訪れる。撮影が始まると、全く異なる生活を送っていた二組の夫婦の日常が次第に重なり合い、それぞれが胸の奥に抱えてきた欲望や感情、関係のほころびが浮かび上がっていく。人間のもろさと再生を描くと同時に、社会のひずみが個人の暮らしに落とす影を見つめるヒューマンドラマとなっている。
監督と出演者の関係
イ・チャンドン監督作品への出演は、『シークレット・サンシャイン』で第60回カンヌ国際映画祭女優賞を受賞したチョン・ドヨンが19年ぶり、『ペパーミント・キャンディー』に主演したソル・ギョングが24年ぶりとなる。もう一組の夫婦には、『パラサイト 半地下の家族』『メイド・イン・コリア』のチョ・ヨジョンと、『密輸 1970』『ムービング』のチョ・インソン。ともにイ・チャンドン作品へ初参加となった。
脚本には、『バーニング 劇場版』で監督と共同脚本を手がけたオ・ジョンミが名を連ね、2組の夫婦の日常に潜む歪みや欲望を細部まですくい取るように描き出す。
監督の受賞コメント
現地時間12日に行われた授賞式でイ・チャンドン監督は、Netflixやスタッフへの感謝を述べた後、「この映画に命を吹き込んでくれたチョン・ドヨン、ソル・ギョング、チョ・インソン、チョ・ヨジョンの4人に感謝します。この賞は皆さんのものです」とメインキャストを称賛。「労働が消えていく時代、そして人と人との関係が断ち切られていく時代に、映画に何ができるのか、映画は何をすべきなのかを問うために、この作品を作りました。この賞をいただいたのは、その問いを続けなさいという意味だと受け止めています」などと語った。
予告編と今後の展開
現在公開されている予告編では、チョン・ドヨン、ソル・ギョング、チョ・ヨジョン、チョ・インソンによる繊細な演技の応酬を見ることができる。夜明け前の森を歩くミオクや、ストライキについて語る妻を黙って見つめるホソク、イェジがサンウに「私はあの人たちを愛そうとしてるの」と告げる場面などが映し出され、二組の夫婦の関係が静かに変化していく様子を予感させる。
本作は、「第51回トロント国際映画祭」スペシャル・プレゼンテーション部門にも正式出品され、「第99回アカデミー賞」国際長編映画賞の韓国代表にも選出されている。



