「売国奴」「非国民」――かつて死語となったはずの罵倒が、ネット上で復活し、民主主義の基盤を揺るがしている。岩屋毅前外相(衆院議員)は、自身がSNSで「売国」などと590万回も誹謗中傷された経験を踏まえ、デマやフェイクニュースが選挙や政治に与える影響を深刻に受け止めている。
アルゴリズムが生む「アテンション・エコノミー」の弊害
岩屋氏は、アルゴリズムによって個人に届く情報が操作され、過激な表現で注意を引けば経済的価値が得られる「アテンション・エコノミー」の世界では、事実かどうかは重要ではないと指摘する。「むしろ、ウソを並べ立てて多くの人の関心を引くことこそが重要になっている」と警鐘を鳴らす。
これは、相手に敬意を払い、ファクトに基づいて議論するという民主主義の基本に反する。とりわけ選挙では、デマやフェイクニュースで民意が歪められることがあってはならないと強調する。岩屋氏は「憲法が保障する思想の自由や表現の自由に最大限の配慮は必要だが、せめて選挙期間中だけでも諸外国の事例に学び、一定の合理的な規制があってしかるべきだ」と述べた。
匿名性の功罪とリテラシー向上の必要性
ネットの匿名性には、自分の意見を率直に述べられるというプラス面がある一方、身元が分からないことをいいことに罵詈雑言を投げつけるマイナス面もある。岩屋氏は「罰則を与えるよりも、国民全体がネットリテラシーを身につけることでマイナスを最小化するしかない」と考える。
岩屋氏は「売国奴」「非国民」といった死語が復活し、横行する現状を危惧する。こうした傾向が主流になれば、ネット社会に巨大な仮想権力が生まれ、健全な発言が委縮しかねない。「そういった傾向が加速すれば、民主主義の土台を崩していく」と警告する。
保守政治家の役割:対話による統合
最近では、先人たちが積み重ねてきた英知へのリスペクトに欠けた姿勢も目立つ。刺激的な言質に踊らされ、一時的な感情エネルギーに政治が動かされれば、国の将来が大きく歪められる恐れがある。岩屋氏は「分断や対立を、粘り強い対話によって統合につなげていく。それこそが保守なのだ」と語り、自身の政治信条を明かした。



