「結局、今日も何も決まらなかったな…」。会議の終わりにこうした言葉が漏れる職場は少なくない。特に、悪気はないものの、議論がいつも迷走してしまう部長には、ある共通した資質の欠如が見られるという。経営コンサルタントの河田真誠氏は、その正体を「質問の大きさとぼやけ方」にあると指摘する。
「売り上げが落ちているのはなぜか」という質問の落とし穴
例えば、部長が会議で「今月の売り上げが落ちているのはなぜか」と質問したとする。一見、まっとうな問いかけに思えるが、実はこの質問には「どうとでも答えられてしまう」という大きな欠点がある。メンバーは頭の中で「売り上げの話ってことは、営業のこと?」「それとも商品が悪いから?マーケティング戦略?」と迷い、多様な方向に発言が拡散する。ある人は「営業のやり方が問題だ」と言い、別の人は「商品力が弱い」と主張し、さらには「価格が高い」と指摘する者も出てくる。
一見、活発な議論のように見えるが、実際には「論点がバラバラな発言の応酬」に過ぎない。あちこちに飛んだ議論の末、明確な結論が出ないまま、会議は「いろいろ意見は出たので、各自考えておいてください」という曖昧な言葉で終わるのがオチだ。
質問を「狭める」だけで会議は一変する
では、この部長は何を間違えたのか。答えはシンプルで、質問が「大きすぎて、ぼやけている」ことにある。河田氏は、質問を「狭める」ことが解決策だと説く。例えば、次のように質問を変えるだけで、会議の質は劇的に向上する。
- 「今月の売り上げが落ちている原因を、まずは『新規顧客の獲得』に絞って考えると、どこに課題があると思いますか?」
- 「次に既存客のアップセルに絞って考えると、どこに課題があると思いますか?」
- 「リピート率を2倍に上げるために、来店後のお客さんの体験価値を改善できる点は何ですか?」
これらの質問は、参加メンバーの考えるポイントを明確に絞り込み、迷いを減らす。質問で重要なのは「何について考えればいいのかを明確にする」ことだ。そうすることで、メンバーの発言は具体的になり、議論は深まり、意思決定のスピードも上がる。逆に「ぼんやりした質問」では、人は頭の中で不安を感じやすくなり、最終的には「発言しないでおこう」という消極的な態度に陥りがちだ。
まとめ:効果的な質問がチームの生産性を左右する
会議の迷走を防ぐ鍵は、部長の質問力にある。大きな問いをそのまま投げかけるのではなく、論点を絞り、メンバーが集中して考えられる枠組みを提供することが求められる。仕事ができる人ほど質問の重要性を理解しており、その質がチーム全体のアウトプットを大きく変える。次回の会議では、質問を「狭める」ことを意識してみてはいかがだろうか。



