栃木県佐野市のご当地ラーメン「佐野ラーメン」は、愛好家に知られる存在だが、高齢化による閉店が相次いでいる。市は新規開業を支援する「佐野らーめん予備校」を開設し、移住者を呼び込むとともに、卒業生たちが経営ノウハウを共有し切磋琢磨する場となっている。
卒業生の交流で経営課題を共有
6月23日、予備校の卒業生3人が市内のラーメン店に集まり、定期的な会合を開いた。この日は、夏場の暑さでラーメンが敬遠される時期に向けた課題が話し合われた。
参加者の一人、船田博美さん(61)は昨年12月に市内で店を開業。鉄道会社で蒸気機関車の機関士を40年以上務めた後、早期退職して予備校で学んだ。料理経験は乏しかったが、ラーメン作りから盛りつけまで習得し、「短期間で学べるのが魅力」と話す。店名は「二周目」と名付けた。
佐野ラーメンの特徴と後継者不足
しょうゆベースのあっさりスープに、青竹打ちでコシのある縮れ麺が特徴の佐野ラーメン。古くから小麦の産地で、昭和初期には人口約5万人に対し160軒程度のラーメン店があったほど地域に根付いている。しかし、高齢化で閉店する店主が増え、市は2020年に後継者不足を解消するため予備校を開校した。
研修費は24万9800円(昨年度、税込み)で、約2カ月の基礎研修で青竹打ちの技術や経営ノウハウ、店舗探しまで支援。卒業生は28人に上り、9店舗が営業中だ。卒業生の一人、「晴れる屋」の店主小林隆宏さん(53)は「卒業生のつながりが続いていて心強い」と語る。
移住促進と民間事業への移行
神奈川県のイタリア料理店で料理長を務めていた坂下正樹さん(45)は、市内に移り住んで8月に「八吉食堂」をオープンする。市総合戦略推進室の吉沼聖尚さん(49)は「移住者も生まれるなど、地域の活性化に大きく寄与している」と自信を深める。
予備校は国の地方創生関連補助金を得ていたが、今年度から民間事業として完全自立する。若田部賢代表(52)は「様々な研修コースを用意し、継承者を増やしていきたい」と意気込む。
ファン層拡大と「聖地」目指す
並行して、佐野ラーメンのファン層拡大にも取り組む。開発した「佐野らーめん食育キット」(3食分、税込み5500円)には、手打ち麺に挑戦できるミニ青竹も入っている。全国からファンが訪れるご当地ラーメンの「聖地」を目指す。



