次期学習指導要領「統合的な理解・総合的な発揮」の狙いと課題 現場の先生にわかりやすく?
次期学習指導要領「統合的な理解・総合的な発揮」の狙いと課題

次期学習指導要領の改訂をめぐり、現場の教員にわかりやすい内容となるかどうか、黄色信号がともっている。元文部科学省キャリア官僚で、現在は広島県総務局付課長、福山市教育委員会学校教育部参与を務める寺田拓真氏は、自身の違和感を率直に語る。

「見方・考え方」の抽象的すぎる課題

現行学習指導要領では、「見方・考え方」が重要な柱として掲げられたが、その内容は極めて抽象的だ。例えば算数における「見方・考え方」は「事象を数量や図形及びそれらの関係などに着目して捉え、論理的、統合的・発展的に考えること」と定義されている。しかし、これを「分数のかけ算」や「素数」といった具体的な授業内容に結び付けて日々の指導に落とし込むのは容易ではない。寺田氏は「内容が一般的・抽象的すぎて、日々の授業の改善に活かすことができない」という課題があったと指摘する。

「統合的な理解・総合的な発揮」が架け橋に

この課題を解決するため、次期学習指導要領では「見方・考え方」と「日々の授業」をつなぐ「架け橋」として、「(知識及び技能に関する)統合的な理解」と「(思考力、判断力、表現力等の)総合的な発揮」が設けられることとなった。寺田氏は、これらの概念が「試合で活躍できる力」を育むための鍵だと説明する。

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評価対象外とする理由と小学校の課題

しかし、ここで疑問が生じる。「そんなに大事なのに、なぜ評価の対象外なのか」「単元の目標と一緒にした方がシンプルなのでは」という点だ。寺田氏は、小学校において前回改訂以降「基礎的な内容の定着がおろそかになっている」という課題があったことを挙げる。評価の対象となる「単元目標」のレベルと抽象度を上げてしまうと、集団活動重視に流れ、基礎定着がさらに不十分になる恐れがあるという。そのため、次期指導要領では「統合的な理解・総合的な発揮」をあえて評価対象とせず、基礎練習(個別のドリルなど)と実践(活動)のバランスを取る設計となっている。

中学校・高校への適用可能性

一方、中学校や高校では、講義中心の授業が依然として多く、「知識をアウトプットする機会」が不足している。寺田氏は「中学校や高校については、レベルを引き上げるため、『統合的な理解・総合的な発揮』を評価対象に位置付けてもいいのでは」と私見を述べつつ、学校段階で構成が異なると複雑になるため、今後の議論に委ねるとしている。

文科省への「お願い」

寺田氏は最後に、文科省への「お願い」として「学校現場に『余白』を生み出すため、『教える内容』を精選すること」の重要性を強調。「教科書を端から端まで教えることにこだわるな」と言われても現場では無理な相談であり、改訂の議論が大詰めを迎える中、ポイントを絞った「薄い教科書」が届くよう期待を寄せた。

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