道東の自然美を満喫、美幌町の滝川朗正さんが語るトレイルの魅力
道東の自然美、美幌町の滝川朗正さんが語るトレイルの魅力

北海道東部、オホーツク海から約30キロ内陸に位置する美幌町。その語源はアイヌ語の「ピ・ポロ」で、「水多く、大いなる所」を意味するという。阿寒摩周国立公園への北の玄関口、美幌峠(標高525メートル)から津別峠、藻琴山へと延びる屈斜路カルデラトレイル(全長25キロ)は、眼下に日本最大のカルデラ湖を望み、厳しい風雪に屈曲したダケカンバや苔をまとったエゾマツ、斜面を覆った笹原が波打つ雄大な景色が連なっている。

構想から6年、2024年10月に開通したトレイル

構想から6年、人跡未踏の原野を開いたトレイルは2024年10月に開通した。極寒の冬、白銀の大地にそそり立つ樹氷を目印に道をたどり、雪解けとともに背丈ほどの笹を刈る。美幌町の地域おこし協力隊としてプロジェクトに加わったネイチャーガイドの滝川朗正さん(33)は「みんなで作った道。絶景の感動を分かち合いたい」と話す。

世界を旅した青年が美幌に移住

冒険は若者の特権だ。札幌で育ち、市役所に就職したものの、23歳の時に世界一周の旅に出たのは、自分が進むべき道を模索していたからなのだろう。ネパールのヒマラヤ山脈、黒海からカスピ海に至るコーカサス山脈、スロバキアのタトラ山脈、ペルーのサンタクルス谷、南米最南端のパタゴニア地域。世界屈指の山々や渓谷で登山やトレッキングを経験した後、2020年、美幌町に移住、ネイチャーガイド専門の「ピーカン企画」を設立した。ピーカンとは雲ひとつない快晴の俗語。大自然に触れ、「心も晴れやかになってほしい」との意味を込めた。

道東全域に広がる活動とトレイルの魅力

標高1000メートルの藻琴山から望む屈斜路湖は雲海に覆われ、冬のスノーシューツアーでは、水平線の彼方まで流氷に覆われたオホーツク海が広がる。カヌーやSUP(サップ)、マウンテンバイクなどのアクティビティーも楽しめ、トレッキングでは雪の妖精・シマエナガに出会うことも。霧の摩周湖、マリモの阿寒湖、希少な野生動物が暮らす知床、雄大な釧路湿原……美幌を拠点に活動範囲は道東全域に広がる。世界を旅した青年は今、新たな冒険に挑もうとしている。

屈斜路カルデラトレイルは、知床、阿寒摩周、釧路湿原の三つの国立公園と地域を結んだ北海道東部トレイル(410キロ)の一部。屈斜路の語源はアイヌ語で湖の出口を意味する。周囲57キロの屈斜路湖から流れ出る釧路川は原始の森を蛇行し、釧路湿原を経て太平洋へと注がれる。