沖縄知事選で玉城氏に圧勝した古謝氏、新人ながらなぜ勝てたのか
沖縄知事選で古謝氏が圧勝、新人が玉城氏に勝てた理由

13日に投開票された沖縄県知事選で、保守系新人の古謝玄太氏(42)が現職の玉城デニー氏(66)に15万票近い大差をつけて圧勝した。投票終了と同時に当確が報じられる「ゼロ打ち」という結果で、古謝氏は過去最多の42万票余を獲得した。

不安視された新人がなぜ勝てたのか

古謝氏は半年ほど前、保守陣営の関係者から「勝てるのか。今からでもタマ(候補者)を変えるべきか」と漏れるほど不安視されていた。那覇市の首里出身で、昭和薬科大学付属高校から東大に進学した「エリート中のエリート」(自民県議)だが、「政治経験がない。知名度もない」(同)という懸念があった。

古謝氏は今年1月、経済界や県内の首長らでつくる保守系の候補者選考委員会で擁立された。当時、保守勢力はまとまりを欠く印象があり、ここまでの大勝を予想した人はいなかった。

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玉城氏の敗因とSNSの影響

玉城氏の敗因はまず、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設反対を旗印に政府と対立を続けてきた支持基盤「オール沖縄」の求心力が低下していたことだ。過去の選挙と異なり「辺野古」が争点にならず、「対立疲れ」が県民に広がっていた。

辺野古沖で3月に船2隻が転覆し、同志社国際高2年の武石知華さん(17)ら2人が死亡した事故も影響した。NHKの出口調査では、転覆事故とその後の動きを「大いに考慮した」が24%、「ある程度考慮した」が37%で、6割超が考慮していた。

転覆した抗議船を運航していた「ヘリ基地反対協議会」を玉城氏が擁護するかのような言動を繰り返したことや、名護市安和の国道で抗議者を制止しようとした警備員がダンプカーにはねられ死亡した事故、県の米ワシントン事務所閉鎖を巡る答弁などがSNSで拡散された。尖閣諸島周辺で中国海警船が沖縄の漁船を追い回した際、玉城氏が「ぜひ安全・安心な領域で漁を行うことを選択した方がよろしいのでは」と発言したこともSNSで批判を集めた。

名桜大の志田淳二郎・上級准教授は「SNSやニューメディアの台頭で、政治の『見える化』が進行し、選挙の投票行動にも影響を与えた」とみる。

古謝氏の勝因と今後の課題

古謝氏の勝因は若さだ。県民の関心は米軍基地問題から生活や経済の振興に移っており、古謝氏は現役世代を重視した政策を訴え、若い世代から幅広い支持を得た。古謝氏は歴代最年少、沖縄の本土復帰後に生まれた世代で初の知事。投票率は61.57%で、前回選挙(57.92%)を3.65ポイント上回った。

古謝氏は4年前の参院選沖縄選挙区に自民党公認で出馬し、27万票余を獲得しながらもオール沖縄勢力の現職・伊波洋一氏に敗れた。得票差の「2888」は古謝氏の車のナンバーになり、「自分への戒め」としている。

自民、日本維新の会の国政与党のほか、国民民主、参政、日本保守の各党と公明党県本部の推薦を得た。立候補を表明していた下地幹郎元衆院議員が告示直前に出馬を取りやめ、古謝氏支援に回ったことも追い風となった。陣営内では「(自民との)取引で降りたとの印象を持たれないか心配だ」との声もあったが、古謝氏の妻・亜希子さんが下地氏の支持者を前に行った涙の演説や、前田貴子後援会長ら女性陣の力も推進力となった。

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沖縄を覆う閉塞感を打ち破る局面転換への期待が古謝氏に集まった。15万票近い大差は、玉城県政に厳しい評価が下されたことを示す。「オール沖縄県政のずさんなガバナンスや行政の不作為、玉城氏の危機意識のなさを地元メディアはどこまで報じたか。報道していないという事実そのものが可視化されてしまう時代で、『玉城県政の不備を十分に伝えてこなかった既存メディアの在り方が問われた』(志田氏)選挙でもあった」と締めくくっている。