日本銀行は6月16日の金融政策決定会合で、政策金利を0.25%引き上げ、31年ぶりとなる1%に設定した。この歴史的な決定会合で、病欠の植田和男総裁に代わり、半年の白血病闘病から復帰したばかりの内田真一副総裁が記者会見に臨んだ。体調が万全でない中での登壇には、強い決意が感じられた。
植田総裁の病欠と内田副総裁の異例の登壇
植田総裁は会合の1週間前、肝嚢胞感染症と診断され入院。高熱と急激な腹痛のため公務は困難とみられた。日銀は早々に総裁の6月会合欠席と、7月会合への出席を発表した。一方、内田副総裁は昨年11月に白血病で入院した後、12月の会合には病院からリモートで参加。今回は直接登壇し、弱々しい声ながらも会見をそつなくこなした。
異次元緩和の処理から逃げない姿勢
内田副総裁は会見で、利上げの理由として「経済・物価の見通しが上振れている」と説明。市場関係者の間では、闘病後も総裁レースから降りない不屈の姿勢が注目されている。内田氏は以前から「異次元緩和の出口戦略を完遂する」と公言しており、今回の行動はその信念に基づくものとみられる。
闘病経ても変わらぬ執念の源泉
内田氏の執念の源泉について、日銀関係者は「彼は日銀の正常化を自らの使命と捉えている。植田総裁が不在でも、自分がやらねばという責任感がある」と語る。実際、内田氏は昨年12月の会合にリモート参加した際も、病床で資料を読み込み、議論に積極的に参加していたという。
今回の利上げは、賃金上昇を伴う好循環が確認できたことや、円安進行による物価上昇リスクを踏まえたもの。内田副総裁は「金融緩和の度合いを調整する時期に来ている」と述べ、今後の追加利上げにも含みを持たせた。
市場の反応と今後の展望
市場では、内田副総裁の会見内容をポジティブに受け止める声が多い。あるエコノミストは「内田氏のメッセージは明確で、日銀の正常化路線に揺らぎはない」と評価する。一方で、植田総裁の健康状態や、内田氏の体調が今後の政策運営に影響を与える可能性も指摘されている。
日銀は次回7月の会合で、植田総裁の復帰が見込まれる。内田副総裁は会見で「総裁の早期回復を願っている」と述べるにとどめたが、その裏には、自分が総裁代行としての責務を果たし切ったという自信と、今後の総裁レースへの意欲がにじんでいた。



