政府が提出した皇室典範改正案は、2026年7月10日の衆院議院運営委員会で自民、日本維新の会、中道改革連合、国民民主、参政党などの賛成により可決され、続く衆院本会議も通過した。現在は参院特別委員会で審議中で、今特別国会での成立が見込まれている。しかし、政治ジャーナリストの小田尚氏は、この内容では皇室関係者の誰も幸せにならないと指摘する。
旧宮家の男系男子を養子に迎える「接ぎ木」案
改正案の核心は、戦後に皇籍を離れた旧11宮家の男系男子を養子として皇族に迎えるだけでなく、その養子に生まれた男子にも皇位継承資格を与える点にある。小田氏は、600年の歴史を経て、一般国民である養子の系統(旧伏見宮系)が現在の天皇家に取って代わって皇位を引き継ぐ「おかしな制度設計」だと批判する。
一方で、女性皇族は結婚後も皇室に残ることができるが、夫と子は皇族としないとされる。小田氏は、家族の一体感を無視し、女性皇族が皇統譜に登録されたまま自治体に住民登録され、選挙権も戸籍もない境遇で公務を強いられるのは、女性皇族への敬意が欠けていると述べている。
国民世論との乖離と拙速な審議
男系維持に固執するあまり、女性・女系天皇を容認する国民世論とかけ離れているだけでなく、皇位継承をめぐる議論を先送りした「立法府の総意」からも逸脱していると小田氏は指摘する。特に、象徴天皇制の核心である皇位継承資格に変更を加える大改正でありながら、高市早苗政権が拙速に成立させようとしている点を疑問視する。
憲法第1条は天皇の地位を「主権の存する日本国民の総意に基く」と定め、第2条は「皇位は、世襲のもの」と規定する。小田氏は、国会は「国民の理解」を得ながら真摯に審議する必要があったと強調する。
今後の展望と懸念
参院での審議を経て、今特別国会での成立が確実視される中、皇室典範改正案をめぐる議論はなお続いている。小田氏は、女性皇族の処遇や皇位継承のあり方について、より丁寧な議論と国民的合意が必要だと訴えている。



