簗農水相が辞任、事実上の更迭 首相は任命責任と信頼回復を
簗農水相が辞任、事実上の更迭 首相は任命責任を

簗和生農林水産相が高市早苗首相に辞表を提出した。遅きに失したが、首相による事実上の更迭である。

問題となった発言と疑惑

簗氏は、2月の衆院選で自身を支援しなかった首長がいる自治体の道路予算を削減したと発言した。加えて、衆院選公示日に出陣式会場と臨時駐車場の間で支持者をシャトルバスで無料送迎したことに関し、公職選挙法違反の疑いが指摘された。

予算削減をめぐる発言は行政の公平性を疑わせる。無料送迎は選挙の公正さを損なう。いずれも政治への信頼に関わるが、納得のいく説明が尽くされたとはいえなかった。閣僚の資質を欠くといわざるを得ない。

発言の経緯と説明

問題の発端は、簗氏が自民党筆頭副幹事長だった5月、栃木県大田原市内で開かれた党員らとの会合で、衆院選で首長が自身を応援しなかったとして「那須烏山市と那珂川町の本年度の道路予算は大幅にカットした」と発言したことだ。両自治体は簗氏が衆院選で出馬した栃木3区にある。

簗氏は発言を撤回し、予算の減額を求めた事実はないと説明した。そうだとしても、行政の公平性が疑われるような発言をしたこと自体、理解に苦しむ。高市首相が衆院予算委員会で「何もしていないのに、地元で自分を大きく見せようとした。大変軽はずみな発言だ」と批判したのはもっともだ。

シャトルバスの無料送迎については、簗氏は衆院予算委で「公共交通機関はなく、年を召された方も多い。人道上の観点もありバスを用意した。利益供与や寄付を行ったということではない」と釈明した。人道上の配慮が必要だったとしても、公選法上の利益供与などに当たるかは別の問題だ。送迎の経緯や費用負担などについて、疑念を解消する説明が尽くされなかったのは残念だ。

今後の課題と信頼回復

臨時国会では、国民生活に直結する飲食料品の消費税減税関連法案などの審議が控えている。年末には国家安全保障戦略など「安保3文書」の改定もあり、課題は山積している。

高市首相は態勢を速やかに立て直し、政策の遂行を通じて信頼回復を図らねばならない。閣僚や与党はたがを締め直し、緊張感を持って政権運営、党運営に当たってもらいたい。