政府が2026年3月末に策定した武力攻撃を想定した避難施設(シェルター)の基本方針について、自民党の「シェルター(堅固な避難施設)および地下利用促進議員連盟」で事務局長を務める佐々木紀国土交通副大臣が、現状と課題を語った。佐々木氏は、シェルター整備には国土強靱化とは別枠の予算確保が必要との認識を示した。
シェルター普及の背景と基本方針の5つのポイント
佐々木氏は、国際情勢の不安定化や北朝鮮のミサイル発射、台湾有事への懸念に加え、南海トラフ地震や首都直下型地震など自然災害への備えとしても、シェルター整備が重要だと強調。「国民の不安に寄り添うという意味でも、シェルター整備は必要な政策だ」と述べた。
基本方針では、2030年度までに市区町村単位でシェルターの人口カバー率を100%にする目標を掲げた。従来は都道府県単位で100%を目標としていたが、より細かい単位での達成を目指す。ポイントは5つある。第1に市区町村単位のカバー率、第2に官民連携の推進、第3に昼間人口のカバー率も100%とすること、第4に自然災害対策とのデュアルユース、第5に地下施設の活用だ。
「東京都では周辺の県に住む人が多く、昼間人口が夜間人口をだいぶ上回っている。日中の有事にも備えなければならない」と佐々木氏は説明。また、地震や帰宅困難者対策と連携した施設確保の重要性も指摘した。
都市部と地方部の違い、地下活用のカギ
シェルター確保の状況は都市部と地方部で大きく異なる。佐々木氏は「都市部、特に東京都には、シェルターの対象となりうる施設がかなりある」と述べ、既存の地下街や地下駐車場の指定を進める方針を示した。東京都では地下鉄麻布十番駅の防災倉庫をシェルターに活用する整備が進んでおり、地下活用が1つのカギになるとした。
一方、地方部では施設の確保に工夫が必要だ。佐々木氏は「地方の施設確保には工夫が要る」と述べ、人口密度が低い地域では避難所の分散配置や、既存施設の転用などが課題になると指摘。具体的な方法として、公共施設の地下利用や、民間施設との連携強化を挙げた。
予算確保の必要性と今後の展望
シェルター整備の財源について、佐々木氏は「国土強靱化とは別枠で予算が必要」と明確に主張。国土強靱化の枠組みだけでは武力攻撃に特化したシェルター整備が不十分になる可能性があるとし、新たな予算枠の創設を求めた。
佐々木氏は「使える予算、見える化させる」と述べ、予算の透明性を高めることで国民の理解を得る必要があると強調。政府は基本方針に基づき、2027年度以降の予算編成で具体的な措置を検討する見通しだ。
シェルター整備は、国民保護法制の一環として位置づけられ、政府は2026年度中に各市区町村の避難計画策定を支援する方針。佐々木氏は「万が一への備えを進めることは非常に大切だ」と述べ、官民一体となった取り組みの重要性を訴えた。



