英国の反移民を掲げる強硬右派政党リフォームUKが、政権を獲得した場合、小型船による不法入国を阻止するため英仏海峡で「第2次世界大戦以来最大の軍事作戦」を開始すると表明した。これに対し、フランス政府は3日、「フランスの主権侵害だ」などと反発した。
海軍投入で小型船をフランスへ送り返す計画
北アフリカのモロッコに隣接するスペイン領の飛び地セウタに不法移民数万人が殺到したのを受け、欧州全体で不法移民をめぐる論争が再燃する中、リフォームUKのナイジェル・ファラージ党首は記者会見で、英海軍を投入して小型船をフランスへ送り返す計画を発表した。
しかし、フランス内務省はAFPの取材に対し、この計画は「フランスに対する主権侵害であると同時に、海洋法および国際法違反にもなる」と述べた。
ファラージ氏は強硬姿勢を維持
政策発表の記者会見で、ファラージ氏は「先週末にセウタで起きた出来事は、この状況がどれほど深刻であるかを示している」と述べた。これに対し、X(旧ツイッター)に「人道任務は海洋法にも国際法にも違反しない」と投稿し、リフォームUKはフランスのエマニュエル・マクロン大統領が「好むと好まざるとにかかわらず、英国の利益のために立ち上がる」と強硬姿勢を示した。
この計画を実行に移すには、リフォームUKが2029年までに予定されている次期総選挙で勝利する必要がある。リフォームUKは世論調査の政党支持率で約1年半にわたって首位を維持しているが、一連の不祥事に見舞われここ数週間でリードを失っている。
「2週間以内に止められる」と主張
しかしファラージ氏は、今回の発表した方針が話題逸らしのパフォーマンスであることを否定し、リフォームUKなら「2週間以内に」小型船による不法入国を止められると主張した。
同党のスポークスマン(内務担当)を務めるジア・ユスフ氏は、フランス側のいかなる抵抗も「人道に対する罪になる」と主張。「もしエリゼ宮(フランス大統領府)が拒否したとしても、誤解しないでほしい。国王陛下の英海兵隊が、彼ら(不法移民)がその日の朝に出発したまさにその海岸へ安全に上陸させるだろう」と付け加えた。ユスフ氏はこの計画について、「第2次世界大戦以来、英仏海峡で最大の軍事作戦になる」と表現した。
専門家からは懐疑的な見方
だが、元英海軍司令官のトム・シャープ氏はAFPに対し、海軍の投入は「問題の解決策にはならない」と述べ、「海軍にできることは多いが、フランス側の意向に反して人々(不法移民)をフランスへ送り返すというアイデアは、私に言わせれば全く辻褄が合わない」と続けた。保守党政権も2020年に同様の政策を提案したが、すぐに撤回した。



