高市政権は、政府の途上国援助(ODA)について、安全保障分野への活用を進めている。ODAで港湾などのインフラ整備を支援し、防衛装備品を供与する別の枠組みと組み合わせ、インド太平洋地域の海洋安保の能力を強化することが想定される。念頭にあるのは海洋進出を強める中国への対抗だ。ただ、ODAには「非軍事的協力」の原則があるなか、「短期的な国益追求の道具になる」との懸念も出ている。
首相がFOIP改定でODA活用を表明
高市早苗首相は5月、訪問先のベトナムで改定した外交方針「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」を表明した。「『安全保障分野におけるODA』の活用も強化し、港湾、空港など、同志国のインフラ整備や海上保安能力強化などに対する支援を拡充していきたい」と強調した。
こうした意向を受け、自民党の国際協力調査会などは6月、政府に提出した決議で、ODAを「戦略的ツール」として活用し、予算を大幅拡充することを求めた。「単なる人道支援」にとどまらず、安保や経済安保に資する形で支援先を選定することなどを掲げる。7月に日本維新の会が提出した政府への提言も、ODAを「総合的な安全保障への投資」として再定義すべきだ、と主張する。
有識者会議でも活用のあり方議論
政府は、ODAの基本方針を定めた開発協力大綱で、「軍事的用途および国際紛争助長への使用を回避する」と明記し、非軍事的協力を掲げている。このため、ODAとは別の枠…



