観光立国のツケは誰が払う? 田中俊徳准教授が語る受益者負担の解決策
観光立国のツケは誰が払う 田中准教授が語る受益者負担

日本観光が外国人旅行者の人気を呼ぶなか、2025年は過去最多の4千万人超が来日した。活況にわく業界を横目に、各地でオーバーツーリズムを懸念する声が上がっている。波及範囲が広いこの問題、だれが対処すべきなのかを、関連書籍のある九州大学の田中俊徳准教授に聞いた。

政府の対策次第で変わるオーバーツーリズムの印象

国は30年に訪日客を6千万人にしたい考えだ。オーバーツーリズムが悪化しないかとの問いに、田中准教授は「オーバーツーリズムについて私たちが受ける印象は、政府が取り組む様々な対策が、今後どれだけ拡充されるかで変わると思います」と述べた。政府が事前予約制や出入国管理などのルールを徹底するとともに、各種税制によって適切な対価が払われる体制を整備することが重要だと指摘した。

見落とされがちなのは、団塊世代が健康寿命を迎えて旅行しにくくなるなど、日本人の国内旅行者がこの10年間で延べ1億人ほど減ったことだ。日本の交通インフラはかなり充実している。京都市の公共バスのように局所的な混雑はあるが、田中准教授は「6千万人が実現しても、減った日本人旅行者を代替する形になるので、物理的キャパシティーとしては受け入れ可能だと考えています」と語った。

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総量規制ではなく、分散と適切な対価が鍵

著書で、必要なオーバーツーリズム対策は決して訪日客の総量規制ではないと述べていることについて、田中准教授は「欧州の世界的な観光地では、家賃や物価の高騰によって住民が街から締め出されています。日本では「混雑」や「迷惑」といった段階にとどまるものの、円安による外国資本の流入もあり、地価や物価、家賃が急上昇する問題が起きています」と説明。訪日客の増加で一部の観光産業が利益を得ているのに、地域コミュニティーや住民は迷惑や負担だけをこうむっているという感情が強まり、社会に「分断」が生じていると指摘した。

オーバーツーリズムが問題になるのは、観光客が一時期に1カ所に集中することだ。時期や場所が分散していれば、キャパシティーは大きくなり、必ずしも総量規制は必要ない。問題は、人数というより、政府がどう対処するかだと述べている。

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