沖縄県知事選、投票率アップへ産官学連携 特典や移動式投票所
沖縄県知事選、投票率アップへ産官学連携 特典や移動式投票所

沖縄県知事選(13日投開票)の投票率アップに向け、産官学で様々な取り組みが行われている。有権者が喜ぶ特典付きの仕掛けのほか、投票に一手間かかる離島住民や選挙離れが指摘される若者の元に出向くなど、あの手この手でアプローチしている。

投票済証で特典、協力店舗は36店舗

「物価高の中でありがたい」。10日午後、沖縄県浦添市の沖縄そば店「東江そば」で、女性客(74)が「投票済証」と引き換えに沖縄の炊き込みご飯「ジューシー」を無料で受け取っていた。女性は「投票所に足を運ぶきっかけになった。家族や友人にも勧めたい」と笑顔を見せた。

投票済証は選挙啓発の一環で県内約20自治体が独自に発行しており、形状はステッカーや名刺大のカードなど様々。これらの投票済証をイベントの協力店舗で提示すると、割引や特典を受けられる取り組みが広がっている。

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企画したのは、宜野湾市の情報通信会社社長、奥浜正樹さん(47)。「生活や将来に直結するリーダーを選ぶ大切な権利をなぜ行使しないんだろう」と投票率の低さに疑問を持っていたと話す。

当選者の報酬は約63億円、無駄にしないため

知事選と同日投開票となる首長選や議員選を含めた今回の沖縄の統一地方選挙での当選者数は約360人。奥浜さんが各自治体の情報を基に、当選者の任期4年間の報酬や手当を推計したところ、計約63億円に上った。「莫大な税金を無駄にしないため、一人でも多くの人に投票してほしい」と一念発起した。

付き合いのある店や知り合い約600人に声をかけ、離島を含む各地の飲食店や美容サロン、スポーツジムなど計36店舗から賛同を取り付けた。東江そばを経営する東江秋人社長(45)もその一人で「社会に貢献し、顧客の新規獲得にもつながる」と期待する。

投票済証は、知事選5日後の18日まで協力店舗で何度でも利用可能とした。奥浜さんは「投票の動機が商品の割引であっても、政治に関心を持つきっかけになれば意義がある。地域全体で投票を後押しする文化をつくりたい」と話す。

離島や高校に移動式投票所、期日前投票も増加

自治体も試行錯誤を重ねる。前回の知事選の投票率が県全体より約10ポイント低かった宮古島市の選挙管理委員会は今回、「移動式投票所」を初めて導入。期日前投票所のある宮古島本島まで船で行く必要がある離島の大神島や、市内の高校3校などに投票箱を積んだワンボックス車で訪れた。

主権者教育を進める学校現場からの反応は上々だ。県立宮古高では7日、移動式投票所で生徒と教員計約50人が1票を投じた。宮城竜幸校長(58)は「選挙に関心がなかった生徒もこうした機会があれば、候補者や政策に目を向けるようになる。政治との距離をなくすために議員を招いた授業なども検討していきたい」と話す。

有権者の投票行動に詳しい名古屋大の山本竜大教授(政治コミュニケーション論)は、今回の知事選について「国防や経済の問題が全国的に注目されている上、SNS上でも盛んに取り上げられており、多くの人が投票に行くのではないか」と分析。その上で「断片的な情報ではなく、様々なメディアから情報を得てほしい。投票時の問題意識を継続して持つことが大切だ」と話している。

前回57.92%、2番目に低く 米軍基地問題を巡り、保守と革新が激しく争ってきた沖縄県知事選は、他の都道府県より投票率が比較的高いとされる。ただ、本土復帰後の1970年代以降に80%前後だった投票率は、2000年代は60%前後で推移。22年の前回選は57.92%で過去2番目に低かった。

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県選挙管理委員会の最新の発表では、6日現在、期日前投票を済ませた人数は有権者全体の6.25%に当たる7万3565人。前回の同期間より約2万3000人増えている。