イタリアのジョルジャ・メローニ内閣は24日、イスラム教徒の女性が全身を覆うブルカや目元だけ出すニカブの着用を学校で禁止し、1クラス当たりのイタリア語能力が乏しい児童・生徒数の上限を定める政令を閣議決定した。
政令の内容と罰則
メローニ首相はSNSへの投稿で、「1クラス内における十分なイタリア語能力を持たない児童・生徒の割合について30%を上限とすること、イタリア語学習ツールの拡充、学校内におけるブルカとニカブの着用禁止を導入する」と発表した。
政令によると、児童・生徒が学校になじめない場合、社会福祉機関に通報され、保護者に無料のイタリア語講座の受講が義務付けられる。違反した場合、1000ユーロ(約18万円)以下の罰金が科される。
移民統合を巡る論争
イタリアは欧州の移民(外国人)問題の最前線に位置しており、移民の統合問題は来年予定される総選挙に向けた主要な争点となっている。
国際非政府組織(NGO)「セーブ・ザ・チルドレン」は、国籍やイタリア語能力の低さを理由に子どもたちに転校を強制することは、「『一級の』児童・生徒と『二級の』児童・生徒を作り出すことになる」と警告した。
だが、ジュゼッペ・バルディターラ教育・功績相は記者団に対し、「言語能力が不十分では学力が向上することはない」と反論し、「学力の向上には、子どもの教育プロセスへの保護者の関与が不可欠だ」と主張した。
バルディターラ氏によると、イタリア国内には外国人児童・生徒の割合が30%を超えるクラスが約3万4000存在する。ただし、新政令はイタリア語能力が不十分な児童・生徒を対象としているため、影響を受けるのは主に新たに移住してきた外国人児童・生徒で、イタリア生まれやイタリアの保育園に通っていた外国人児童・生徒が影響を受けることはほとんどないという。
既存の上限と反応
1クラス当たりの外国人児童・生徒の割合を30%までに制限する規定は、2010年の大臣の権限で出される通達によってすでに導入されていた。だが、この上限は、イタリア生まれの場合など十分なイタリア語能力を持つ外国人児童・生徒が多い場合には引き上げが可能とされる一方、イタリア語能力が乏しい外国人児童・生徒が多い場合には引き下げが可能という柔軟な仕組みとなっていた。
これに対し野党・民主党のエリー・シュライン書記長(党首)は、「子どもたちを犠牲にした新たな魔女狩りだ」と述べ、政府を批判した。
閣議後のテレビインタビューで、メローニ首相は学校内でのブルカとニカブ禁止について「セキュリティー上の問題だ」と説明した。さらに、「女性、そしてそれ以上に幼い少女が顔を覆うことを強制される時、彼女たちはしばしば声高に擁護される基本的人権と社会統合を奪われているのだ」と語った。
学校内でのブルカやニカブの着用禁止については今年7月、欧米メディアから「極右」扱いされているメローニ氏よりもさらに右側に位置する新興極右政党「フトゥーロ・ナツィオナーレ(国家の未来、FN)」が呼び掛けていた。FNは今年2月の結党以来、世論調査で支持率を急速に伸ばし、連立与党に対する有力な対抗馬として浮上している。