福岡県議会金銭疑惑、議長経験者5人が100万円以上の現金授受認める
福岡県議会金銭疑惑、議長経験者5人が現金授受認める

福岡県議会(定数87)で、議長や副議長を務めた経験者のうち5人が、就任前後に自民会派の幹部らに対して100万円以上の現金を手渡したり、会食代を負担したりしていたことが、朝日新聞の取材で明らかになった。証言からは、議長ポストを巡る独特の「慣習」が浮かび上がる一方、幹部側は疑惑を全面否定している。

実名証言と金額の内訳

朝日新聞は2000年以降に議長または副議長を務めた47人のうち、故人を除く全員に取材を試み、7月19日までに30人が回答した。実名で証言したのは、2020~21年に議長だった元自民の吉松源昭氏と、副議長だった自民の江藤秀之氏だ。

吉松氏は、議長就任前に「議会運営の他会派への根回し」名目で、当時県議団幹事長だった中尾正幸・現副議長から現金1千万円を要求され、当時の県議団会長に支払ったと証言。高級料亭での会食代や「お車代」も負担し、一部は江藤氏と折半したという。負担額は吉松氏が「総額2千万円程度」、江藤氏も自民会派幹部に「現金500万円を手渡した」ほか、折半分の300万円程度を負担したと主張している。

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匿名証言と民主会派の事例

他にも3人が匿名を条件に取材に応じた。ある自民県議は、議長就任の半年ほど前に現金300万円を袋に入れ、自民県議団会長室の椅子の上に置いたと証言。自民の元副議長は、他会派も含めたゴルフ旅行の費用など100万円ほどを負担したと答えた。民主会派でも、元副議長の一人が、当時の民主会派幹部の指示で蔵内勇夫・現議長に現金500万円を料亭で手渡したと証言。ゴルフ旅行や飲食接待でも費用を負担したという。

ほかの議長・副議長経験者たちは、ポスト就任にあたっての現金の授受を否定した。ただし、複数の人が自民会派幹部との会食の場を設けて費用を負担したと証言したほか、「自分は払っていないが、それらしい要求を打診されたことがある」(自民の元副議長)と語る人もいた。

特有の「汗かき」慣習

証言で共通するのは、ポスト選びにおいて自民会派重鎮の「評価」が強く影響し、金銭の支払いもその評価を左右すると考えられていた点だ。自民会派幹部らによると、福岡県議会では「汗かき」と呼ばれる慣習があり、議長や副議長になる際に会派幹部への金銭的貢献が名誉とされる風潮があるという。ある県議は「参加は名誉」と語り、負担を強いられても「歯を食いしばって参加する」と述べた。

一方、疑惑を否定する幹部側は、朝日新聞の取材に対して「全く事実無根」と反論。中尾副議長は「要求した事実はない」とし、現金授受を全面否定している。県議会は今後、第三者委員会を設置するなどして真相解明を進める方針だ。

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