18日に開幕する愛知・名古屋アジアパラ競技大会(読売新聞社協賛)に出場する陸上選手の競技用ウェアを製造している企業が福井県内にある。スポーツ用品大手アシックスのグループ会社で、越前市に本社・工場を置く「アシックスアパレル工業」だ。選手一人ひとりに合わせた特製のウェアを手がけており、関係者は「最高のパフォーマンスを発揮してほしい」と期待を込める。
選手の声を反映した改良
アシックスは2023年、日本パラ陸上競技連盟とオフィシャルパートナー契約を締結し、パラ陸上に特化したウェア開発に力を入れている。パラスポーツ企画部オペレーションチームのマネジャー、三原千咲さんは「大会ごとに選手にアンケートを行い、そのフィードバックにしっかりと耳を傾けることで次の大会のウェアへと生かしている」と話す。
越前市の工場では約80人が勤務する。その中でパラ選手向けの製造作業を全て担える熟練の職人は数人しかおらず、縫製の位置などわずかな違いを調整する。現在、工場はアジアパラ陸上の日本代表選手のウェアを担当している。
義足交換しやすく、背中が出にくく
選手の要望が反映された改善例は多い。義足の選手向けのタイツでは、ふくらはぎ辺りまでしか開かなかったファスナーを、タイツを着用したまま義足交換がしやすいように、膝下まで大きく開くように改良した。
2025年の日本パラ陸上競技選手権大会で100メートル、200メートル、走り幅跳びで3冠を達成したアシックス所属の田巻佑真選手(24)は改善前後の両方を着用し、「義足をつける時にタイツを脱ぐ必要がなくなり、アップで温まった体を維持することができる」と話す。
車いすの選手向けには、前かがみの姿勢でも背中が出にくいよう後ろの丈を長くするなど、選手ごとの身体的な特性や着用時の課題に合わせ様々な工夫を施している。
工場の誇りと期待
アシックスアパレル工業の近藤潤社長は、選手が自分たちの作ったウェアを着て大会で果敢に挑む姿を見る時にやりがいを実感するといい、工場の作業員たちも一緒に観戦することも多い。
近藤社長は「選手一人ひとりに寄り添った設計で物作りをすることが我々の強み。競技に集中し、チャレンジしてほしい」と願う。