2024年7月4日、近畿内航船員対策協議会・近畿運輸局と日本内航海運組合総連合会は、船員確保対策事業の一環として、児童養護施設と連携した海洋学習イベントをアジア太平洋トレードセンター(大阪市住之江区)で開催した。大阪府岸和田市の「岸和田学園」から小学1~6年生の児童16名と教員5名が参加し、株式会社商船三井さんふらわあ、商船三井ミュージアム「ふねしる」の協力のもと、座学と体験を組み合わせたプログラムが提供された。
海洋学習「岸和田っ子の知らない海運の世界」で幕開け
岸和田学園からバスで到着した子どもたちは朝から元気いっぱい。近畿内航船員対策協議会会長の林一男氏が「海や船を好きになってもらい、将来のひとつの選択肢にしてほしい。今日は楽しんでください」と呼びかけると、児童らは「よろしくお願いします!」と明るく応えた。
まず、ATC会議室で「岸和田っ子の知らない海運の世界」と題した海洋学習が行われ、講師は株式会社辰巳商会の上田雄士氏が務めた。上田氏は「国内輸送において、船はトラックと同等の約40%を担っているが、トラック運転手が約100万人いるのに対し、内航船員は約6万人しかいない」と説明し、子どもたちから驚きの声が上がった。また、「船には多様な仕事があり、人気漫画『ワンピース』に登場するクルーのポジションが実際の内航船にも存在する」と聞き、一気に興味を示した。ただし、戦闘員や狙撃手はいないと知り、がっかりする子もいた。
国内の自給率についても触れ、例えば小麦の約85%は輸入に依存しており、日本の生活に外国からの輸送が欠かせない現状を説明。上田氏は「その99.6%を船が担っている。大量に安く輸送できるのが船のメリットで、日本がある限り船員の仕事はなくならない」と強調した。さらに、内航船の勤務スタイルとして8時間の3交代制や3ヶ月乗船・1ヶ月休暇のサイクルを紹介し、「大人になっても長い夏休みが取れる。長期休暇には海外旅行に行くのが趣味」と世界各国の写真を見せると、子どもたちは夢中で聞き入った。
昼食は絶景のレストランで、バイキングを満喫
50分の海洋学習の後、大阪府咲洲庁舎48階の「レストラン ワールドビュッフェ」で昼食。展望を前に子どもたちは大興奮し、思い思いにバイキングを楽しんだ。
商船三井ミュージアム「ふねしる」で操船や未来の船を体験
昼食後は商船三井ミュージアム「ふねしる」へ移動。多彩なコンテンツの中でも一番人気は「操船シミュレータ」。310度のLEDスクリーンによる鮮明な映像で没入感と迫力のある操船体験ができ、子どもたちは列を作り、本物の船を操縦しているような臨場感に声を弾ませた。また、風力で水素を作り運ぶ未来の船「ウインドハンター」体験では、うちわで協力して風を送り、水素タンクが満タンになると歓声が上がった。他にもガントリークレーンシミュレータや機関士の仕事、コンテナ積込み体験など、自由に「ふねしる」を満喫した。
フェリー「さんふらわあ」に乗船、ブリッジ見学に興奮
最後のプログラムはフェリー「さんふらわあ」への乗船。豪華な船内に感激し、窓からの景色やソファを楽しんだ。最初に案内された操舵室「ブリッジ」は横幅27メートルで新幹線の車両1台分に相当。子どもたちは双眼鏡を覗き、ブリッジならではの眺めに夢中になった。レーダーに関心を寄せる児童もいた。その後、客室や展望浴場、ペットルーム、ドッグランを見学し、終始興味津々。最後に船内で記念撮影を行い、船を後にする際には名残惜しそうな様子が見られた。
海洋学習から「ふねしる」体験、フェリー乗船まで充実した一日を過ごした子どもたち。知られざる船の世界を身近に感じ、将来、船員を志す児童が現れるかもしれない。



