米国務省がイスラエルによるガザ地区での軍事作戦に関連し、一部の武器供与停止を内部勧告したものの、政権高官が即座にこれを拒否したことが、複数の米メディアの報道で明らかになった。この勧告は、イスラエルがガザで国際人道法に違反している可能性があるとの懸念に基づくものだが、バイデン政権内で即座に却下され、イスラエルへの軍事支援継続の方針が改めて確認された。
国務省内部の勧告内容
米国務省の内部文書によると、同省の法律専門家チームが、イスラエルによるガザ攻撃が国際人道法に違反する可能性があると結論付け、特定の武器供与の停止を勧告した。この勧告は、国務省が定期的に実施する軍事支援の合法性審査の一環として行われたものだ。しかし、この勧告はバイデン政権の高官によって即座に拒否され、イスラエルへの武器供与は継続されることとなった。
この内部勧告は、イスラエルがガザ地区で使用する米国製兵器の一部が、民間人を過度に危険にさらす可能性があるとの分析に基づいている。特に、人口密集地域での空爆に使用される精密誘導爆弾の供与が懸念された。しかし、政権内部ではイスラエルの安全保障を優先する声が強く、この勧告は却下された。
バイデン政権内の意見対立
今回の内部勧告とその拒否は、バイデン政権内でイスラエル支援を巡る意見対立が存在することを浮き彫りにした。国務省の一部専門家は、イスラエルの行動が国際法違反に当たる可能性を指摘する一方、政権中枢はイスラエルへの無条件支援を維持する立場を崩していない。この対立は、ガザでの民間人犠牲者が増加する中で、政権内で人権と安全保障のバランスを巡る緊張が高まっていることを示している。
米国のイスラエル支援は長年にわたり超党派の支持を得てきたが、ガザ紛争の長期化に伴い、特に民主党左派から支援見直しを求める声が強まっている。バイデン大統領はこれまでイスラエルの自衛権を一貫して支持してきたが、民間人被害の拡大を受けて、より慎重な姿勢を求める圧力に直面している。
イスラエルへの軍事支援の実態
米国はイスラエルに対して年間約38億ドル(約5700億円)の軍事支援を行っており、これは米国の对外軍事援助の中でも最大規模の一つだ。この支援には、戦闘機、ミサイル防衛システム、精密誘導爆弾などが含まれる。今回の内部勧告は、こうした兵器の一部がガザでの軍事作戦に使用されていることを受けて行われた。
イスラエルはガザでの作戦において、米国製のF-35戦闘機やJDAM(統合直接攻撃弾薬)などの精密誘導兵器を広く使用している。これらの兵器は、ハマスの軍事インフラを標的とする一方で、民間人への被害を最小限に抑えるために使用されているとイスラエル側は主張している。しかし、国務省の内部評価では、民間人被害のリスクが依然として高いと判断された。
今後の展望
今回の勧告拒否により、米国のイスラエル支援政策に当面変更はない見通しだ。しかし、ガザでの停戦交渉が難航する中、バイデン政権は国内の批判にどう対応するか難しい判断を迫られている。特に、11月の大統領選挙を控え、民主党左派の支持を失うリスクを避けるため、何らかの姿勢変更を迫られる可能性もある。
一方、イスラエル政府は米国の支援継続を歓迎する立場で、今回の内部勧告についても「米国はイスラエルの安全保障にコミットしている」と強調している。しかし、国際社会からはガザでの民間人被害を巡る批判が強く、米国の支援姿勢は今後も注目を集めることになる。



