政府は北極圏に関する政策の強化に着手した。高市首相が2015年に策定した資源開発、航路研究、国際ルール作りに関する基本方針の改定を指示し、来年度中にまとめる。
北極海航路の重要性
北極海航路は、南回りのスエズ運河経由より日本と欧州の距離が4割短い。しかし海氷に覆われ気候が厳しく、各国は国連海洋法条約に基づき沿岸国ロシアの許可を得て航行している。日本船籍の航行実績は少ない。ただ海氷面積は温暖化で25年に冬季最小を記録し、数年中に年間航行が可能になるという。
中国はロシアと協力を深め「氷上のシルクロード」と称し、巨大経済圏構想「一帯一路」につなげようとしている。
資源確保と研究体制
北極圏は石油やレアアースの埋蔵量が多いとされ、エネルギー調達の多角化上も重要だ。ロシアのウクライナ侵略で北極海航路の利用はさらに困難となったが、手を拱いていては中露の囲い込みが進む。
航路研究に資するのが今年度就航予定の新型研究船だ。現在の研究船にはない砕氷機能を持ち、海中ドローンなどを搭載し広範囲で氷の状態や気象の把握が可能となる。沿岸国にデータを提供するなど協力を深めたい。
資源開発と国際協力
ロシア・シベリアで9年前に始まったLNG開発に、日本企業が運航・保有する船舶が輸送面で加わっている。LNGは日本に輸入されており、新たな事業開発も増やしたい。
北極圏8か国による評議会には日本もオブザーバー参加。航行の自由確保や資源開発のルール作りが大切だ。21年に締結された北極圏の漁業資源や生態系を守る協定にも日本は加盟。環境保全の技術をいかした貢献の余地があろう。
戦略的な取り組み
ロシアは北欧の沿岸国に対し核威嚇を強め、トランプ米大統領はデンマーク領グリーンランドの領有に意欲を示した。米露中がせめぎ合う中で、日本として何ができるか戦略的に取り組まなければならない。



