ICC制裁が映す「公平」への逆風と渇望 東畑開人さんの社会季評
ICC制裁が映す「公平」への逆風と渇望 東畑開人さん

国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長がトランプ政権によって制裁対象となった。米国への入国を禁じられ、クレジットカードが使えなくなった。

ICCが体現する「公平」とは何か

ICCとは特定の国家の思惑から独立し、公平な立場から戦争犯罪などを裁くために設けられた国際裁判所である。ここにある「公平」とはimpartialの訳語であり、partialつまり「部分的、偏った」の否定形だ。どの陣営にも属さず、肩入れしない。均等に寄り添うが、偏って寄り添わない。

法にのみ従う公平な場所がないと、強者は容易に弱者を踏みにじる。これを人類は20世紀の大災厄から学んだのである。

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公平への逆風と全世界的な不信感

しかし現在、まさにここに掲げられた公平に逆風が吹いている。米国は歴史的に、国家主権の上に同意していない超国家的裁判所を置くのは不正だと主張してきて、それは一理あるにしても、最近では政府高官がICC解体を公言するなどエスカレートしている。

そもそもトランプ大統領は公平を掲げる従来の政府やメディアを既得権益側の「嘘つき」だと非難してきた政治家だった。この不信感は全世界的な傾向で、「公平の名のもとに切り捨てられた」という叫びは政治を動かす巨大な力になっている。

私たちにも同じ不信感はないだろうか。この記事の続きでは、公平への逆風の中で、私たちがどう向き合うべきかを考察する。

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