国際サッカー連盟(FIFA)は、2026年W杯北中米大会の準決勝でイングランド代表に勝利したアルゼンチン代表の選手たちが、試合後に「フォークランド諸島はアルゼンチンのもの」とスペイン語で記された横断幕を掲げた問題について、試合の報告書を評価した上で何らかの措置を講じるかを決定する見込みだ。FIFAは7月18日までにこの方針を明らかにした。
準決勝後の政治的主張
問題の横断幕は、7月15日に行われた準決勝、イングランド対アルゼンチンの試合後にアルゼンチンの選手たちによって広げられた。横断幕には「LAS MALVINAS SON ARGENTINAS(フォークランド諸島はアルゼンチンのもの)」と記されており、これはアルゼンチンがイギリスとの間で領有権を争うフォークランド諸島(アルゼンチン名マルビナス諸島)を自国領と主張する政治的なメッセージである。
この行為は、1982年のフォークランド紛争で両国が戦火を交えた歴史的な背景を持つため、イギリス側の強い反発を招いた。試合後、イギリスの閣僚はFIFAに対して調査を要請しており、アルゼンチンとイギリスの間では外交的な緊張も高まっている。
FIFAの過去の対応事例
FIFAは過去にも同様の政治的主張を伴う横断幕や行為に対して制裁を科した事例がある。例えば、2014年のW杯ブラジル大会では、アルゼンチンサポーターがフォークランド諸島の領有権を主張する横断幕を掲げた際、アルゼンチンサッカー協会に対して罰金が科された。また、2018年のW杯ロシア大会でも、アルゼンチン代表選手が試合中に同様のメッセージが入ったTシャツを着用した問題で、FIFAは罰金処分を下している。
今回のケースでは、試合後に選手自身が横断幕を掲げた点が過去の事例と類似しており、FIFAは規律委員会に付託するかどうかを検討中とみられる。FIFAの規定では、政治的なメッセージを試合中や試合後のピッチ上で掲示することを禁止しており、違反した場合には罰金や出場停止などの制裁が科される可能性がある。
両国の反応と今後の展開
アルゼンチン側では、選手たちの行為を支持する声が国内で広がっている。一方、イギリス外務省は「スポーツに政治を持ち込むべきではない」としてFIFAの厳正な対応を求めている。アルゼンチン政府も先日、イギリス艦艇の領海通過に対して正式に抗議するなど、両国の関係はフォークランド問題をめぐり引き続き緊張状態にある。
FIFAは試合の公式報告書を精査し、数日中に判断を下すとみられる。過去の罰金額は協会に対して数千スイスフラン程度であったが、今回は選手個人への制裁も視野に入れているとの見方もある。今後のFIFAの決定が、サッカーと政治の境界線をめぐる新たな議論を呼ぶことは確実だ。



